「人手が足りなくて休憩や休みの調整が難しい」
「労働環境が悪くてスタッフが次々と辞めてしまう」
飲食店の経営者のなかには、労働環境に疑問を感じている方もいます。
飲食店は、業務の特性から長時間労働や休日取得の難しさなどの問題を抱えやすい業界です。
しかし、どのような理由があっても、法律で定められたルールを無視して従業員を働かせることは許されません。
この記事では、飲食店で起こりがちな労働基準法違反の具体的な事例や、残業に関わる36協定の仕組みを解説します。
法律違反を防ぎ、従業員が安心して働ける職場環境を整えるためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店にありがちな労働基準法違反の事例

飲食店でありがちなのが、以下のような労働基準法違反です。
- 残業代未払い
- 休憩・休日取得の問題
- 36協定違反
知らぬ間に労働基準法違反にならないように、それぞれの事例を解説します。
残業代未払い
慢性的な人手不足を抱える職場では、従業員一人ひとりの負担が増え、長時間労働が常態化しやすくなります。
それにともない、未払い残業代の問題が発生するケースも少なくありません。
労働基準法では、法律で定められた管理監督者などの一部の例外を除き、法定労働時間を超えて働いた時間や休日出勤に対して、法に基づいた割増率で賃金を支払う義務があります。
具体的には、時間外労働は25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働(22時〜翌5時)は25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
サービス残業や固定残業代(みなし残業代)の制度を悪用し、超過分の残業代を支払わない場合、労働基準法違反になります。
休憩・休日取得の問題
飲食店は土日祝日やゴールデンウィーク、年末年始など、世間一般が休みとなる時期に忙しくなります。
人員に余裕がない店舗では、繁忙期に誰かが休むと現場が回らなくなるため、従業員は希望通りの休暇取得が困難です。
また、法律で定められた休憩時間も、客足が途切れなかったり急なトラブルが発生したりすると、休憩に入れない、あるいは休憩中でも呼び出されるなどの事態が頻発します。
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
さらに、休日は原則として毎週少なくとも1回与える必要があります。
36協定違反
原則として1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させることや、週1日の法定休日に労働させることはできません。
この上限を超えて従業員に時間外労働(残業)や休日労働を命じるためには、必ず36(サブロク)協定を締結し、管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定違反は、主に以下の2つのケースを指します。
協定の未締結・未提出
協定の未締結・未提出は、そもそも36協定を締結・提出せずに、法定労働時間を超えた労働をさせることです。
36協定なしの長時間労働や休日労働は明確な法律違反となり、罰則の対象です。
協定で定めた上限超え
36協定を結んでも、残業時間は月45時間・年360時間という上限が定められています。
特別な事情がある場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)などの上限を超えて働かせることはできません。
これに違反した場合も罰則の対象です。
飲食店の労働基準法違反をなくすには

飲食店の労働基準法違反をなくすためには、以下のような対策が必要です。
- 店長が労働基準法や36協定を理解する
- 業務の自動化と効率化を促進する
- 従業員教育を徹底する
- 従業員を増やす
労働基準法や36協定の理解を深め、働きやすい職場環境を作りましょう。
店長が労働基準法や36協定を理解する
従業員との労働時間に関するトラブルを未然に防ぐうえでは、経営者や店長自身が労働基準法や36協定などの関連法規を正しく理解することが重要です。
法規制の枠組みを正確に把握すると、法律の範囲内で労働時間を適切に管理し、無理のないシフト体制を構築できます。
日頃から法律に則った勤怠管理を徹底していれば、仮に労働問題に関する指摘を受けたとしても、法的に不利な立場に陥るリスクを低減できます。
まずは自店の就業規則や36協定の内容を再度確認し、問題がないかチェックすることから始めましょう。
業務の自動化と効率化を促進する
追加の人員確保が経営的に困難な場合には、業務の自動化・効率化によって労働環境を改善するのが有効です。
一例を挙げると、高性能な業務用食洗機を導入すれば、洗い場にかかる時間と労力を削減できます。
また、ITツールを活用したバックオフィス業務の効率化も効果的です。
これまで手作業で行っていたシフト作成や勤怠管理、売上分析などの煩雑な業務は、クラウド型の管理システムなどを導入すると自動化できます。
新たに生まれた時間を接客や調理などのコア業務に充て、労働時間の短縮を目指しましょう。
従業員教育を徹底する
長時間労働の背景には、従業員のスキル不足やトレーニング体制の不備が隠れているケースもあります。
業務のマニュアルを整備して新人スタッフに丁寧に仕事を教えていくと、個々の業務スピードが上がり、結果として従業員全体の労働時間短縮につながります。
また、業務の習熟度が上がると発注ミスや調理ミスが減少し、不要なコストやクレーム対応の時間も削減可能です。
質の高い教育は、従業員の定着率を高め、安定した店舗運営を築くうえでも欠かせない投資です。
従業員を増やす
上記の対策を講じてもなお慢性的な長時間労働が発生している場合、根本的に業務量に対して人員数が不足している可能性があります。
従業員一人ひとりのキャパシティを超える業務量が常態化していると、時間外労働や休日出勤でそれを補う機会も増え、労働環境は悪化の一途をたどります。
長時間労働が蔓延している状況では、新たな人材採用が効果的な解決策です。
ピークタイムや曜日ごとの業務量を分析し、安定した店舗運営に必要な人員数を算出したうえで、計画的に採用活動を進めましょう。
飲食店の労働基準法違反に関するよくある質問
飲食店の経営者のなかには、労働基準法違反に関する疑問をお持ちの方もいます。
ここでは、労働基準法違反に関するよくある質問と、その回答を解説します。
アルバイトやパートでも労働基準法は適用されますか?
はい、アルバイトやパートでも労働基準法は適用されます。
労働基準法は、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用される法律です。
「アルバイトだから残業代は出ない」「パートだから休憩はなくても仕方ない」などの対応は認められません。
原則として1日8時間・週40時間の法定労働時間、労働時間に応じた休憩、週1日以上の休日などの基本的なルールは、すべての従業員に等しく保障されます。
労働基準監督署が来たときの対応はどうしたらいいですか?
労働基準監督署による調査(臨検監督)は、予告なく行われる場合があります。
慌てず冷静に対応するために、日頃からの準備が大切です。
まず、法律で定められた書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、36協定の控えなど)をいつでも提示できるよう保管しておきましょう。
監督官からの質問には、正直に回答してください。決して帳簿の改ざんや虚偽の報告をしてはいけません。
法令違反が認められた場合、是正勧告書が交付されます。
指摘された事項を定められた期日までに是正し、是正報告書を労働基準監督署に提出する必要があります。
従業員の労働時間が長いのは仕方ないことですか?
従業員の長時間労働は、仕方ないことではありません。
「飲食店は忙しいから」「人手が足りないから」などの理由で、法律で定められた上限を超える長時間労働や、それに対する適切な残業代の不払いが正当化されることは決してありません。
やむを得ず法定労働時間を超えて労働した場合は、36協定の範囲内であるかを確認し、法律に基づいた割増賃金を正確に支払う義務があります。
労働時間の問題を放置すると、従業員の離職や疲労から労災リスクが増し、最終的には店舗経営そのものに影響を与える可能性があります。
飲食店の労働基準法違反を防ぐための採用のコツ

労働基準法違反を防ぐ根本的な解決策は、適切な人数の従業員を確保することです。
しかし、飲食業界は人手不足が深刻で、採用活動が難航することも珍しくありません。
そこでおすすめなのが、飲食店に特化した求人サイトの活用です。
そのなかでも『グルスタ』は、飲食業界で働きたい人材が多く集まるため、効率的に優秀なスタッフを見つけられます。
店舗の理念や労働環境の整備状況をアピールすれば、共感してくれる人材からの応募が期待でき、ミスマッチの少ない採用につながるでしょう。
労働基準法違反を防いで安心して働ける飲食店を目指そう
飲食店で起こりがちな労働基準法違反には、残業代の未払いや不適切な休憩・休日管理、36協定の違反などがあります。
労働基準法違反は、従業員の権利を侵害するだけでなく、店舗の信用を失い、経営を危うくする重大な問題です。
まずは経営者や店長が労働基準法を正しく理解し、勤怠管理の徹底や業務効率化、計画的な採用を進める必要があります。
従業員が安心して働けるホワイトな職場を目指すためにも、採用活動には飲食店専門の求人サイトを活用し、自店の魅力と健全な労働環境を伝えていきましょう。
飲食店の経営や人材に関するより専門的な情報がほしい、あるいは人材不足でスタッフを募集したいとお考えの店舗運営者は、ぜひ以下のサイトもご覧ください。
グルスタでは飲食店に特化して、多種多様な求人を取り揃えております。
