飲食店では、急な欠勤や注文ミス、繁忙時間のトラブルなど、現場ならではの出来事が日常的に起こります。
スタッフにとっては笑い話にできる場面でも、店長やオーナーにとっては、採用や教育、店舗運営の課題が隠れているケースもあります。
本記事では、スタッフと店長・オーナーの視点から、飲食店で起こりやすい「あるある」を紹介します。自店の課題を見直すきっかけとしてお役立てください。
飲食店に「あるある」が多い理由
飲食店に「あるある」が多いのは、限られた人数で複数の業務を同時に進めるためです。
接客・調理・会計のいずれかが滞るだけでも、店舗全体に影響が広がります。
たとえば、ホールスタッフが注文を受けている間に電話が鳴り、厨房では料理の提供が遅れることがあります。
さらに急な欠勤が重なると、店長が現場に入り、事務作業や採用活動が後回しになりがちです。
こうした出来事は、店長やオーナーにとっては経営課題として表れます。
【スタッフ編】飲食店で働く人のあるある
飲食店で働くスタッフは、新人研修やピークタイム、シフト調整など、現場特有の出来事を経験します。
スタッフが感じる「あるある」を場面別に解説します。
新人・研修中のあるある
新人スタッフは、メニュー名や略語、ハンディ端末の操作など、最初に覚える情報の多さに圧倒されがちです。
ようやく操作に慣れた頃にメニューが変わり、覚え直しになることもあります。
注文を取り間違えたときは、先輩へ報告するタイミングに迷います。
忙しそうな様子を見ると声をかけにくく、一人で対応しようとして問題が広がるケースも少なくありません。
また、常連客の好みや店舗独自の対応方法を、先輩だけが把握していることもあります。
新人が質問しにくい職場では、同じ失敗を繰り返しやすくなります。
こうした新人あるあるは、本人の経験不足だけが原因ではありません。
業務マニュアルを整え、質問できる時間を設けると、教育する側と新人の双方が働きやすくなります。
忙しい時間帯(ピークタイム)のあるある
ピークタイムには、複数の対応が同時に重なります。
満席になった直後に電話が鳴り、入口では次のお客様が待っている場面も珍しくありません。
忙しい日に限って、食洗機やレジ、ドリンクサーバーなどの設備が止まることもあります。
厨房からの料理提供が遅れると、ホールスタッフがお客様に状況を説明し、謝罪する役目を担います。
食べ終わった食器を下げた瞬間に別のテーブルから呼ばれたり、閉店準備を始めた頃に来店が続いたりするのも飲食店ならではです。
こうした混乱が頻繁に起きる場合は、スタッフの対応力だけに頼らず、人員配置や店内動線、厨房との連携方法を見直す必要があります。
シフト・人間関係のあるある
飲食店では、希望した日に休みを取りにくいことがあります。
人手が足りない日に欠勤者が出ると、出勤予定ではなかったスタッフへ応援を頼むケースもあります。
また、仕事ができるスタッフに、締め作業や新人教育などの負担が集中しがちです。
同じ時給でも担当する仕事に差があると、不公平感が生まれる可能性があります。
店長や先輩によって指示内容が異なり、新人が戸惑うこともあります。
新人が仕事を覚える前に先輩が退職し、十分な引き継ぎができない場合もあるでしょう。
シフトや人間関係の問題を放置すると、スタッフの不満が蓄積します。
店長は勤務日数だけでなく、業務負担の偏りも確認することが大切です。
飲食店勤務の職業病あるある
外食先で入店を知らせる音が鳴ると、無意識に入口を見てしまうスタッフもいます。
料理を待っている間に、ホールスタッフの動きや店内の混雑状況が気になることもあります。
忙しそうな店舗を見ると、必要な人数やテーブルの回し方まで考えてしまいがちです。
家庭でも複数の食器を一度に運んだり、空いた皿を自然にまとめたりします。
店員の苦労がわかるため、注文や会計の際に丁寧な言葉を選ぶ人も多いです。
こうした職業病は、スタッフが接客や店舗運営を日常的に考えている証拠です。
本人が身につけた観察力や気配りは、接客品質を支える強みにもなります。
【店長・オーナー編】飲食店経営のあるある
飲食店の店長やオーナーは、売上管理から採用、シフト調整まで幅広い業務を担います。
店長やオーナーが日々感じる「あるある」を紹介します。
売上・集客のあるある
飲食店では、多めに仕込んだ日に限って客足が鈍く、仕込みを抑えた日に注文が集中することがあります。
天気予報を見ながら仕込み量やスタッフ数を何度も調整するのも、店長・オーナーのあるあるです。
SNSの投稿が多くの人に見られても、来店数には直結しない場合があります。
スタッフが忙しく動いているのに、月末に数字を確認すると利益がほとんど残っていないケースもあるでしょう。
売上だけを見ても、店舗の経営状態は判断できません。
客数や客単価に加え、食材費と人件費を確認し、忙しさが利益につながっているかを把握する必要があります。
スタッフ採用のあるある
人手が足りずに求人を出しても、応募がほとんど集まらないことがあります。
応募があって面接日を決めても、当日に来なかったり、連絡が途絶えたりするケースも珍しくありません。
採用が決まった後、初出勤前に辞退され、シフトを組み直す場合もあります。
経験者を採用できても、以前の職場とは異なる仕事の進め方になじめず、早期退職につながることもあるでしょう。
一方、店長は現場の穴を埋める必要があり、求人内容の見直しや応募者への連絡に時間を割けません。
人手不足が採用活動を遅らせ、さらに人が集まりにくくなる悪循環が生まれます。
シフト管理・急な欠勤のあるある
スタッフの希望休を調整してシフトを完成させた直後に、新たな休みの相談が届くことがあります。
特に来店が増える週末や連休に欠勤者が出ると、代わりに出勤できる人を探さなければなりません。
代わりに出勤できるスタッフが見つからなければ、店長が自ら現場に入ります。
営業を優先するため、売上集計や発注、求人対応などの事務作業は閉店後に回りがちです。
店長による穴埋めが続くと、連勤が増え、冷静な経営判断も難しくなります。
欠勤への対応だけでなく、必要人数の設定や応援体制も含めて、シフト管理を見直すことが重要です。
スタッフ教育・定着のあるある
新人が一通りの仕事を覚え、ようやく戦力になった頃に退職を申し出ることがあります。
採用と教育を繰り返しても人員が安定せず、店長が疲弊する原因になります。
教育を担当する人によって、作業手順や接客方法が異なることも問題です。
新人は誰の指示に従えばよいかわからず、仕事への不安を感じやすくなります。
注意したことで辞めてしまうのではないかと考え、必要な指導をためらう店長もいます。
業務手順と指導基準をそろえ、新人と定期的に話せる機会を設けましょう。
店長・オーナーの働き方あるある
休日でも店舗から連絡が入り、完全に仕事から離れられない店長やオーナーは少なくありません。
自分が店にいないと営業が滞るのではないかと不安になり、休みの日にも様子を見に行くことがあります。
人手不足が続けば、スタッフより長い時間現場に立つ場合もあります。
売上が目標に届かなかった日は、立地や市場環境などの要因を考えるより先に、自分の判断を責めてしまうこともあるでしょう。
しかし、オーナーが接客や調理、シフトの穴埋めを続けていると、採用や収益改善に使う時間を確保できません。
店長やオーナーが現場を離れても営業できる体制を作ることが、店舗を安定させるための課題です。
飲食店の「あるある」に隠れている経営課題
飲食店で繰り返される「あるある」には、採用や教育、店舗運営の課題が隠れています。
たとえば、急な欠勤が多い店舗では、人員配置に余裕がないことも考えられます。
新人が短期間で辞める場合は、採用時の説明不足や教育体制を見直したほうがよいでしょう。
店長が毎回シフトの穴を埋めている状態も要注意です。
店長が現場から離れられなければ、採用活動や売上分析、業務改善に使う時間を確保できません。
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果の概況」では、「宿泊業,飲食サービス業」の離職率は25.1%でした。
産業計の14.2%より高い水準です。
同産業の離職率を就業形態別に見ると、一般労働者は18.1%、パートタイム労働者は29.9%でした。
なお、これらの数値には、飲食店だけでなく宿泊業も含まれています。
スタッフの入れ替わりが続くと、残った人の負担が増えます。
その結果、接客や料理提供に影響が出て、さらに退職者が増える悪循環にもつながります。
飲食店あるあるを減らすために見直したいこと
飲食店の「あるある」を減らすには、個人の経験や頑張りに頼らない仕組みが必要です。
教育、シフト、面談、採用基準を見直すと、店長とスタッフの負担を抑えやすくなります。
新人教育を仕組み化する
新人の早期離職を防ぐには、教える内容と順番を統一することが重要です。
担当者によって説明が異なると、新人は正しい手順を判断できません。
まずは、出勤初日から独り立ちまでに覚える業務を整理します。
接客用語やハンディ操作、開店・閉店作業などをチェックリストにすると、習得状況を確認しやすくなります。
忙しい時間帯に質問しにくい状況への対応も必要です。
営業前後に確認時間を設けると、疑問を抱えたまま働く状態を防げます。
シフトと業務負担を可視化する
シフト管理では、出勤日数だけでなく、担当業務の偏りも確認します。
同じ人数を配置していても、締め作業や発注、新人教育が一部の人に集中している場合があります。
勤務表には、ホール・厨房などの担当配置も記録するとよいでしょう。
ピークタイムに不足しやすい役割がわかれば、必要な人員を配置しやすくなります。
急な欠勤に備えて、応援を頼めるスタッフや業務の優先順位も決めておきます。
店長が毎回穴埋めに入る状態を避けるには、事前の対応ルールが欠かせません。
負担を数字や担当表で確認すると、本人が不満を訴える前に問題へ気づけます。
スタッフと定期的に話す時間を作る
スタッフの不満は、退職の申し出を受けて初めて明らかになる場合があります。
早めに変化を把握するには、短時間でも定期的な面談が必要です。
面談では、仕事への不満だけを尋ねるのではありません。
困っている業務や覚えにくい作業、シフトの希望などを具体的に確認します。
店長への直接相談が難しいスタッフもいるため、意見を記入できるシートや相談相手を用意すると、声を拾いやすくなります。
すべての希望に応える必要はありません。
話を聞き、対応できる範囲を伝える姿勢が大切です。
採用する人物像を明確にする
採用では、経験年数だけで応募者を判断しないことが重要です。
飲食店での経験が豊富でも、勤務時間や接客方針が店舗と合わなければ、早期退職につながります。
求人を出す前に、必要な人物像を具体的に整理しましょう。
任せたい仕事や必要な経験、勤務条件、店舗が大切にする接客の考え方などを明確にします。
求人情報では、良い面だけを強調しないことも大切です。
忙しい時間帯や担当業務を事前に伝えると、入社後の認識違いを減らせます。
「飲食店あるある」は採用と定着を見直すサイン
飲食店では、注文ミスや設備トラブル、急な欠勤など、現場ならではの出来事が日常的に起こります。
スタッフや店長同士で笑い話にできる内容も少なくありません。
一方で、新人の早期離職や慢性的な人手不足、店長によるシフトの穴埋めが続いている場合は、店舗運営の見直しが必要です。
採用条件や教育方法、業務負担の偏りに原因が隠れている可能性があります。
同じ「あるある」が繰り返されているなら、スタッフ個人の問題として終わらせず、店舗の仕組みを確認しましょう。
求人を出しても応募が集まらない、採用しても定着しないと悩んでいる店舗は、採用方法そのものを見直すことも重要です。
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