「もう飲食店を辞めたい」と感じながら出勤し「自分が我慢すればいい」と気持ちを押し込んでいませんか。
飲食業界では、長時間労働や人手不足、給与への不満など、さまざまな理由から退職を考える人もいます。
この記事では、飲食を辞めたいと感じる主な理由を整理し、辞めるべきか続けるべきかの判断基準、円満に退職する方法、飲食経験を活かせる転職先まで解説します。
飲食を辞めたいと感じる主な理由
飲食を辞めたいと感じる理由には、長時間労働や給与面、人間関係など共通する悩みがあります。
まずは、自分がどの理由に当てはまるのか整理することから始めるのがポイントです。
体力的につらい・長時間労働が続く
飲食店の仕事は、長時間立ったまま働く場面が多数あり、体力的な負担が多い仕事です。
ホールでは接客や料理提供を続けながら、店内全体も見なければなりません。
キッチンでは仕込みや調理、洗い場など、同時進行の場面もあります。
さらに、営業時間が勤務時間とイコールとは限りません。
開店前の仕込みや閉店後の片付け、締め作業もあるため、拘束時間が長くなりやすい傾向です。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報」では、飲食サービス業等の月間実労働時間は173.6時間で、全産業の中でも長い水準です。
体力的な疲労が積み重なると「仕事は嫌ってないが、この働き方を続けるのが難しい」と感じることが、退職を考えるきっかけにもなります。
休みが取りづらくプライベートとの両立が難しい
飲食店では、土日祝日や大型連休が繁忙期になりやすく、希望通りに休めないことがあります。
また、人手不足の店舗では、一人が休むと残ったスタッフでカバーしなければなりません。
負担を押し付けられないと感じ、休暇申請をためらうケースもあります。
厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の年次有給休暇取得率は51.0%で、全業種の中でも低い水準です。
仕事と生活のバランスを重視したい方にとって、休みの取りづらさは転職を考えるきっかけになりやすいです。
給料が低く労働に見合わないと感じる
飲食業界では仕事内容や労働時間に対し、給与が見合わないと感じる人もいます。
営業中の接客や調理に限らず、発注、売上管理、人材教育など、社員になるほど担当業務は増える傾向です。
しかし、責任や業務量が増えても給与アップにつながりにくい職場だと、不満を抱えやすくなります。
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、宿泊業・飲食サービス業の平均年収は372万3,000円でした。
将来的な収入やキャリアを考えたとき「このまま続けてよいのか」と不安になり、飲食を辞めたいという考えが生まれます。
人手不足による負担や人間関係のストレスがある
飲食店では、人手不足で一人あたりの業務量が増えやすい傾向も見られます。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」では、飲食店の54.4%が正社員不足を感じていると回答しました。
少人数で店舗を回さなければならず、休憩が十分に取れない状況も出てきます。
また、限られたスペースで長時間一緒に働く環境です。
スタッフ同士の相性やコミュニケーションが負担になる場合も出てきます。
お客様からのクレーム対応もあると精神的な疲労が重なり「もう限界かもしれない」と考える場合もあります。
飲食店を辞める前に確認したい判断基準
「飲食を辞めたい」と思っても、勢いで退職を決めると、後悔する結果につながりかねません。
飲食店を辞める前に確認したい判断基準を紹介します。
「今の職場の問題」か「飲食業界自体の問題」かを見極める
辞めたい理由が現在の職場だけなのか、飲食業界全体に関係するのか、深く考えることが重要です。
例えば「店長の管理方法が合わない」「職場の人間関係が悪い」などの悩みは、別の飲食企業へ転職すれば解決できる可能性があります。
一方で、「土日に休めない」「立ち仕事が体力的につらい」などの悩みは、飲食業界全体に見られる共通の特徴です。
判断するときは、落ち着いて辞めたい理由を紙に書き出してみましょう。
「環境を変えれば解決する問題」と「仕事自体を変える必要がある問題」に分けると、次の行動が決めやすくなります。
辞めた方がいい人・続けた方がいい人の特徴
心身に限界を感じている、職場環境に明確な問題がある場合などは、退職を前向きに検討するタイミングです。
一例を挙げると、出勤前に強い不調を感じたり、休日も疲れが取れなかったり、有給休暇を取得できなかったり、給与未払いなどの状況は要注意です。
一方、飲食の仕事にやりがいを感じているなら、職場を変えると解決できる可能性もあります。
「将来的に自分の店を持ちたい」や「店長や料理長を目指したい」など、明確な目標がある場合、今の経験がキャリアにつながることもあります。
大切なのは、飲食を続けるか辞めるかばかりにとらわれず、どの環境なら自分らしく働けるかを考えることです。
飲食店で働き続けるメリットも知っておこう
飲食を辞めたいと感じても、飲食業界の仕事で得られる経験や強みもあります。
飲食業では、接客力や対応力、状況判断力など、他の仕事でも活かせるスキルが自然と身につきます。
例えばホールスタッフは、お客様の様子を見ながら問題がありそうなら先回りし、落ち着いて対応する力が必要です。
キッチンスタッフは、複数作業をスムーズに同時進行させるための段取り力を磨けます。
正社員として経験を積めば、売上管理やスタッフ教育、発注、原価管理など、店舗運営に関わる知識も身につきます。
将来、独立して自分の店を持ちたい人にとって現場経験は財産です。
一方「飲食業界はどこも厳しい」と、決めつけるのは避けたいところです。
同じ飲食業界でも、企業規模や業態次第で労働時間や休日制度のほか、給与体系は異なります。
自分が大切にしたい条件を整理したうえで、環境を選び直すことも対処方法のひとつです。
飲食店を円満に退職するための注意点
飲食業界では、人員配置が店舗運営に直結するため、退職を伝えても引き止められるケースがあります。
事前に正しい流れを理解しておけば、トラブルも回避しやすくなります。
退職を伝えるタイミングは繁忙期を避ける
退職の意思は、退職予定日より余裕を持って先に伝えることが大切です。
法律上、期間の定めがない雇用契約の場合、民法第627条では、退職の申し入れから2週間で契約を終了できるとされています。
ただし、飲食店ではシフト調整や後任スタッフの採用、業務引き継ぎまでしなければなりません。
円満退職を目指すなら、一般的に1ヶ月前を目安に伝えましょう。
特に、年末年始やゴールデンウィークなどの繁忙期はお客様も増えて、店舗に負担がかかります。
退職を伝えるなら、繁忙期を避けて店舗側も比較的調整が簡単なタイミングを選べば、話し合いもスムーズになりやすいです。
ただ、職場環境は店舗ごとに異なるため、状況に合わせた判断が求められます。
引き止められたときは退職意思を明確に伝える
「人手不足だからもう少し続けてほしい」「後任が決まるまで待って」と引き止められることもあります。
しかし、人員管理は会社や店舗側が対応すべき問題です。
退職の意思を伝えた後、働き続けるかどうか決める権利は本人にあります。
引き止めを避けるには、退職を相談ではなく、決定事項として伝えることが重要です。
「少し考えたいです」だと条件改善を提案され、判断を先延ばしにされる可能性があります。
「〇月末で退職したいと考えています」と、退職日を明確に伝えると、話が進みやすいです。
「辞めたら損害賠償を請求する」と言われても、通常の退職だけで従業員が損害賠償責任を負うケースは限定的です。
退職理由は前向きに伝える
退職理由を伝える際、不満をぶつけるより、今後の方向性を説明すると円満に進みやすいです。
例えば「給料が低い」「人間関係がつらい」だと、待遇改善や配置変更を提案され、引き止められる可能性があります。
そのため「新しい分野に挑戦したい」「今後のキャリアを考えて環境を変えたい」と伝えれば、店舗側も引き下がるしかありません。
退職届は基本的に「一身上の都合」と記載すれば問題ないです。
理由を細かく説明する義務はないため、必要以上に自分を責めず、落ち着いて手続きを進めましょう。
転職で武器になる飲食店のスキル
「飲食しか経験がないから転職できない」と考えないようにしましょう。
飲食店で培ったスキルは、他業界でも評価されます。
代表的なスキルが、接客力とコミュニケーション能力です。
飲食スタッフは、お客様の要望をくみ取り、状況に合わせて対応する経験を積んでいます。
営業職やカスタマーサポートなど、人と関わったり、コミュニケーション能力が求められる仕事で活かせるスキルです。
また、飲食店では複数の業務を同時に進める場面も多くあります。
注文対応をしながら料理提供の状況を確認する、忙しい時間帯に優先順位を判断するといった経験は、業務管理能力として評価されます。
さらに、店長候補や正社員として働いた経験があるなら、売上管理、スタッフ教育、発注、原価管理などの店舗運営経験は強みです。
転職活動では、履歴書や職務経歴書に「ホールを担当していた」「キッチンで働いていた」と仕事内容だけ書くのではなく「どのような課題に対応し、成果を出したか」を整理し、具体的に伝えましょう。
飲食店からのおすすめ転職先
飲食経験を活かせる転職先はいくつかあります。
大切なのは「なぜ辞めたいのか」を基準に、次の職場を選ぶことです。
収入、休日、仕事内容など、自分が改善したい条件を明確にすると、転職後のミスマッチを避けやすくなります。
同じ飲食業界・宿泊業界でキャリアチェンジする
「飲食の仕事は好きだけれど、今の職場環境が合わない」という場合、同じ業界内で転職するのも選択肢のひとつです。
個人経営の店舗から大手チェーン、ホテル、ブライダル施設、給食関連企業など、さまざまな働き方があります。
企業により、休日制度、給与体系、残業管理、人材育成の仕組みは多種多様です。
個人店で長時間勤務を続けてきた人が労務管理が整った企業へ移った途端、働き方が改善するケースもあります。
また、店長経験や新人教育の経験があるなら、店舗運営を担う人材として評価されやすいです。
飲食そのものにやりがいを感じているなら、業界を離れる前に「自分に合った飲食企業を探す」選択肢も検討したいところです。
飲食業界に特化した求人サイト『グルスタ』では、正社員求人を豊富に掲載しています。
ホールスタッフ、キッチンスタッフ、店長候補など、経験が活かせる求人を探しながら、今より働きやすい環境への転職を目指しましょう。
営業職・事務職など異業種への転職
土日休みや働き方の改善、収入アップを目指すなら、異業種への転職も選択肢のひとつです。
営業職は飲食店で培った接客経験や提案力を活かしやすい仕事です。
お客様の要望を聞き、適した商品やサービスを提案する点は、飲食での接客経験と共通する部分もあります。
特に、店舗で常連のお客様との関係づくりを経験してきたなら、相手のニーズを把握する力もアピールできます。
また、カスタマーサポートや販売職など、人とのコミュニケーションを活かせる仕事も候補です。
一方、事務職を希望する場合、パソコンスキルの準備が求められます。
WordやExcelの基本操作などを身につけておけば、未経験からの転職でも応募できる求人の幅が広がります。
これまで身につけた能力を、別の仕事でどう活かせるか落ち着いて整理することが重要です。
飲食を辞めたいと感じたら一人で抱え込まず行動を
飲食を辞めたいと感じる背景には、長時間労働、休みの取りづらさ、給与への不満、人手不足など、さまざまな要因があります。
厚生労働省の調査でも、宿泊業・飲食サービス業は離職率が高い業界のひとつです。
そのため「辞めたいと思う自分は甘えている」と決めつけると心身ともに追い詰められかねません。
大切なのは、感情だけで判断するのではなく、辞めたい理由を整理することです。
「飲食を辞める」ことだけを目的にせず「長く働ける環境を選ぶ」という視点で、次の行動を考えましょう。
飲食業界で正社員として環境を変えたい方は、飲食業界特化の求人サイト『グルスタ』も活用してみてください。
自分に合った飲食店を見つけて、新しい生活をスタートしましょう。
