「飲食店は10年で9割潰れる」と聞いたことはありませんか。
この数字だけを根拠に、飲食店経営の将来性を判断するのは早計です。
廃業率は開業年数や経営状況で異なるからです。
この記事では、2025年の最新データをもとに、飲食店の廃業率や倒産件数の実態を解説します。
あわせて廃業につながる主な原因や、生き残るために取り組みたい対策まで整理しました。
飲食店が潰れる確率は?最新データで見る廃業の実態
飲食店が潰れる確率を考える際は、イメージや俗説ではなく、公的統計や調査会社のデータを確認することが大切です。
2025年は、飲食店の倒産件数が過去最多となりました。
まずは最新データから、飲食店を取り巻く現状について見ていきましょう。
2025年の飲食店倒産は過去最多900件、3年連続の増加
帝国データバンクによると、2025年の飲食店経営事業者の倒産件数は900件で、前年の894件を上回り、過去最多を更新しました。
なお、集計対象は負債1,000万円以上で、法的整理に至った倒産です。
帝国データバンクの調査では、2023年から3年連続で増加傾向にあります。
飲食業界は厳しい経営環境が続いている状況です。
背景として考えられるのは、食材価格や光熱費の高騰のほか、人件費の上昇などです。
一方、価格転嫁が十分に進んでいない店舗もあります。
帝国データバンクの調査を見ると、飲食店の価格転嫁率は32.3%と、全業種平均の39.4%を下回っています。
特に中小規模や個人経営の店舗では、値上げによる客離れが課題です。
また、コスト増加分を販売価格へ反映できないケースも見られます。
その結果、利益が圧迫され、資金繰りの悪化によって倒産に至る店舗が増えている状況です。
開業後約4年間の廃業割合は飲食店・宿泊業で14.7%
飲食店は開業直後ほど、廃業リスクが高い傾向です。
日本政策金融公庫の調査によると、2016年に創業した企業のうち、2020年末までに廃業した割合は、全業種で8.9%、飲食店・宿泊業で14.7%でした。
開業当初は設備投資や借入返済などの負担もあり、売上が安定する前に、運転資金不足に陥るケースがあります。
また、想定していた客数に届かなかったり、オペレーションが安定しなかったりすることも、廃業につながる要因です。
ただし、この調査は飲食店と宿泊業を合わせた集計であり、開業年数別の生存率を示したものではありません。
開業初期をどう乗り切るかが、長く営業を続けるためのポイントです。
「10年で9割が潰れる」は本当か?数字の正しい見方
「飲食店は10年で9割潰れる」との話もありますが、実際のところこの数字を裏付ける公的な統計はありません。
シンクロ・フードの調査では、閉店した店舗の営業年数別割合は、3〜5年が13.9%、6〜10年が14.1%、11年以上が10.2%でした。
出典:Synchro Food|閉店しやすい飲食店の特徴は!?居抜き情報.COMが過去に閉店した飲食店の傾向の調査結果を発表![2014-2016年版]
同調査では、閉店した店舗のうち、営業年数2年以内の店舗が60%以上を占めています。
ただし、この結果だけで、開業3年を超えた店舗の廃業リスクが低いとは判断できません。
また「倒産」と「廃業」は意味が異なります。
倒産には法的整理と私的整理がありますが、帝国データバンクの900件は、負債1,000万円以上で法的整理に至った倒産を集計したものです。
一方の廃業は、経営者の高齢化や後継者不足などによって自主的に営業を終えるケースも含まれています。
そのため「10年で9割潰れる」という数字だけで、経営を悲観しなくてもかまいません。
重要なのは、自店の経営状況を把握し、早い段階から適切な対策をすることです。
飲食店が潰れる確率を高める主な4つの原因
飲食店の廃業理由は複数あります。
資金繰りの悪化や人手不足、原材料費の高騰、集客不足など、複数の要因が重なって経営が悪化するケースもあります。
どのような要因が経営に影響するかを理解しましょう。
資金繰りの悪化・運転資金の枯渇
飲食店が廃業する原因として多いのが、資金繰りの悪化です。
売上があっても手元資金が不足すれば、仕入れや家賃、人件費などの支払いができなくなり、営業を続けるのが困難になります。
飲食業は食材費や人件費の割合が高く、利益率がそれほど高くない業種です。
開業直後は、設備投資や借入金の返済も重なるため、黒字になる前に資金が尽きるケースもあります。
必要な運転資金は店舗によって異なりますが、売上が安定するまでの期間を想定し、十分な資金を確保しておくことが重要です。
また、毎月の資金繰り表を作成し、現金の流れを把握することも重要です。
売上だけ見て安心するのではなく「いつ、いくら支払いがあるのか」を管理できる店舗ほど、安定した経営につながります。
深刻な人手不足と人件費高騰
飲食業界では、慢性的な人手不足が経営課題となっています。
スタッフを十分に確保できないと、営業時間の短縮や席数の制限を余儀なくされ、売上にも影響します。
人材確保のために、時給や待遇を改善する店舗も増えてきました。
人件費の上昇は利益を圧迫します。
一方、人手不足が続けば、少人数で営業せざるを得ません。
スタッフ一人ひとりにかかる負担が限界に近づくと、接客品質の低下や提供時間の遅れにつながり、お客様の満足度も低下しかねません。
このような状況が続けば、スタッフの離職や客離れが進みます。
その結果、経営がさらに苦しくなるという悪循環は避けなければなりません。
安定した店舗運営の実現には、採用だけではなく定着しやすい職場づくりへの取り組みも重要です。
原材料・光熱費高騰と価格転嫁の遅れ
近年、食材価格や光熱費の上昇が続き、利益が圧迫されている飲食店も出ています。
特に肉類や野菜、米など、幅広い食材の価格が上昇しています。
ただ、価格を上げると客離れにつながることが不安材料となり、値上げに踏み切れないケースも出てきました。
帝国データバンクの調査を見ると、飲食店の価格転嫁率は32.3%にとどまり、全業種平均を下回っています。
利益の確保には、値上げだけでなくメニュー構成の見直しや原価管理なども必要です。
コスト上昇への対応が遅れるほど、経営への影響は大きくなります。
集客力・経営ノウハウの不足
料理がおいしいだけでは、飲食店の長期経営は困難です。
集客やリピーターづくり、数字の管理など、経営者としての視点も必要です。
開業当初は順調に売上を伸ばしていても、新規のお客様が減少することもあります。
競合店が増えれば、売上が伸び悩むこともあります。
また「良い料理を提供すれば、自然とお客様が集まる」と考え、販促活動や情報発信を後回しにする店舗も少なくありません。
しかし、GoogleビジネスプロフィールやSNSを活用した情報発信、リピーター向けの施策など、継続的な集客への取り組みは不可欠です。
さらに、売上や利益を数値で管理できていないと、経営悪化の兆候に気付きにくくなります。
飲食店を長く続けるには、料理や接客だけではなく、経営全体を見渡す視点が重要です。
業態・立地・店舗規模によって異なる飲食店の廃業リスク
飲食店の廃業リスクは、すべての店舗で同じではありません。
業態や立地、店舗規模によって必要な売上や固定費が異なるため、経営の難しさにも差が生じます。
自店の状況を正しく判断するには、業界全体の数字以外に、同じ条件に近い店舗の傾向を知ることが重要です。
業態別に見る倒産件数―酒場・中華・東洋料理・日本料理が上位
帝国データバンクの2025年調査によると、業態別の倒産件数は、酒場・ビヤホールが204件で最も多くなっています。
次いで、中華・東洋料理店が179件、日本料理店が97件で、いずれも高水準です。
酒場や居酒屋は、コロナ禍以降、宴会需要の変化や人件費の上昇など、経営環境の変化による影響を受けました。
また、中華・東洋料理店や日本料理店では、食材価格の高騰や調理人材の確保が難しくなっていることも影響しています。
ただし、倒産件数が多くても、その業態自体が経営しにくいとは言えません。
店舗数が多い業態は、倒産件数も増える傾向です。
重要なのは、業態に合った売上目標や利益率を把握するとともに、市場の変化に応じてメニューや営業方法を見直すことです。
立地・店舗規模と閉店率の関係
飲食店の閉店率は、立地や店舗規模によっても違います。
Synchro Foodが2014〜2016年に閉店に関する問い合わせを分析したところ、閉店店舗のうち20坪以下が52.7%、営業年数2年以内が60%以上、駅から徒歩5分以内が73.3%を占めていました。
出典:Synchro Food|閉店しやすい飲食店の特徴は!?居抜き情報.COMが過去に閉店した飲食店の傾向の調査結果を発表![2014-2016年版]
ただし、この調査は営業中の店舗を含めた閉店率を算出したものではありません。
小規模店舗や駅近店舗は店舗数自体が多いため、これらの条件だけで閉店しやすいとは判断できません。
人通りの多い立地は集客しやすい一方、家賃が高くなる傾向です。
売上が想定より伸びなければ、固定費の負担がふくらみ、利益の確保が難しくなる場合もあります。
反対に、住宅街や郊外でも、地域のお客様を着実に獲得できれば安定経営につながることもあります。
立地を選ぶ際は人通りだけでなく、家賃やターゲット層、必要な売上とのバランスまで考えましょう。
飲食店が潰れる確率を高めない|廃業を防ぐための3つの対策
飲食店の廃業リスクは、完全にはなくせません。
しかし資金管理や人材確保のほか、集客に継続して取り組めばリスクを下げられます。
ここでは多くの飲食店で実践できる、3つの対策を解説します。
資金計画とキャッシュフロー管理を徹底する
飲食店経営では、売上だけでなく、現金の流れを把握することが重要です。
利益が出ていても、手元資金の不足で支払いができなければ、経営が立ち行かなくなる危険性も出てきます。
開業時は、設備投資や運転資金も含めた資金計画を立てて、半年から8か月程度の運転資金を確保しておくと安心です。
営業開始後も、毎月の売上や経費を確認するだけでなく、資金繰り表を作成して入出金を管理しましょう。
早い段階で異変に気付ければ、融資の相談や経費の見直しなど、打てる対策も増えます。
資金管理は、飲食店経営の土台となる取り組みです。
人材確保・定着率向上へ投資する
人手不足は、売上だけでなく店舗運営全体に悪影響を及ぼします。
必要な人数を確保できないと、営業時間の短縮だけでなく、サービス品質の低下にもつながる危険性があります。
採用活動では、求人媒体だけに頼らず、自社ホームページやSNSなど複数の方法を組み合わせることも有効です。
また、採用したスタッフが長く働ける環境づくりも欠かせません。
シフトの柔軟化や教育体制の整備のほか、適切な評価制度などは、定着率の向上につながります。
さらに、モバイルオーダーやセルフレジなどを導入すれば、少人数でも店舗を運営しやすくなります。
採用と業務効率化の両立が、店舗運営の安定につながります。
集客力向上とメニュー・価格戦略を見直す
売上を安定させるには、新規のお客様を集めるだけでなく、リピーターを増やすことも重要です。
Googleビジネスプロフィールの情報を充実させたり、SNSで新メニューや季節限定商品を発信したりすることで、来店のきっかけを作れます。
また、価格設定やメニュー構成を定期的に見直すことも大切です。
原材料費が上昇している中では、価格を据え置くだけでは利益を確保できない場合もあります。
自店ならではの強みを明確にし、お客様に選ばれる理由を作ることが、長く経営を続けるためのポイントです。
飲食店が潰れる確率・廃業率に関するよくある質問
「飲食店 潰れる 確率」と検索する方の多くは、開業前の不安や現在の経営状況について疑問を抱えています。
ここでは特によく寄せられる質問について、最新データや一般的な考え方をもとに分かりやすく回答します。
Q. フランチャイズなら廃業率は下がりますか?
フランチャイズは、本部のブランド力や運営ノウハウ、研修制度などを活用できるため、未経験者でも開業しやすい仕組みです。
そのため個人でゼロから開業するより、経営の負担を軽減できる場合があります。
しかし、フランチャイズだからといって、必ず成功するわけではありません。
ロイヤリティの支払いや契約上の制約もあり、本部のサポート内容を把握し、収支計画を十分に確認する必要があります。
加盟前は説明会に参加したり、既存オーナーの声も参考にしたりして、自分に合った本部か見極めましょう。
Q. 経営が厳しいと感じたら、まず何をすべきですか?
売上の減少や資金繰りに不安を感じたら、できるだけ早く現状を数字で把握することが重要です。
まずは資金繰り表を作成し、今後の収支や支払い予定を確認しましょう。
そのうえで固定費や原価、人件費など見直せる支出がないか整理します。
状況によっては、税理士や中小企業診断士などの専門家へ相談することも有効です。
たとえ営業の継続が難しくても、居抜き売却やM&Aなど、店舗の価値を活かせる選択肢があります。
早めに行動するほど、経営を立て直せる可能性が高まります。
飲食店が潰れる確率より「対策できるかどうか」が経営の継続を左右する
飲食店・宿泊業は、全業種と比べて廃業割合が高いという調査結果がありますが、数字だけを過度に恐れないようにしましょう。
廃業につながる主な要因は、資金繰りの悪化や人手不足、原材料費の高騰、集客不足などです。
こうした課題に対しては、日頃から数字を管理して早めに対策を講じることが先決です。
特に人手不足は、売上やサービス品質、スタッフの定着率など、店舗経営全体に影響を及ぼします。
採用活動や働きやすい職場づくりに取り組むことは、安定経営を続けるための重要な投資です。
もし人材不足が経営課題になっているなら、飲食業界に特化した求人サービス『グルスタ』の活用もご検討ください。
店舗に合った人材との出会いが、長く愛される店舗づくりにつながります。
