飲食店では、食器や調理器具の洗い物、頻繁な手洗い、洗剤の使用などによって、手荒れが起こる場合があります。
特に水仕事が多い職場では、指先の乾燥やひび割れが起こり、洗い物や調理のたびに痛みを感じることもあります。
手荒れが続いていると、「仕事を続けながら治せるのか」「手が荒れた状態で食品を扱ってもよいのか」と悩む方もいるかもしれません。
手荒れの原因は、水や洗剤による刺激だけでなく、手袋の蒸れや摩擦、もともとの皮膚の状態など、人によって異なります。
そのため、原因に合わせて仕事中の対策や保湿を取り入れ、症状が続く場合は皮膚科への受診を検討しましょう。
この記事では、飲食店で手荒れが起こる原因や仕事中の対策、皮膚科を受診する目安、衛生管理上の注意点、働き方を見直す判断基準を解説します。
飲食店で手荒れが起こる原因

飲食店での手荒れは、担当する作業や使用する洗剤、手袋の種類などによって、原因や症状の程度が異なります。
手荒れにつながる主な原因や、仕事中に起こりやすい場面を解説します。
水やお湯、洗剤によって皮膚のバリア機能が低下する
皮膚の表面は、皮脂などによって水分を保ち、外部の刺激から肌を守る働きがあります。
しかし、水やお湯、洗剤に繰り返し触れると、皮脂が失われて皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や刺激に弱くなります。
飲食店の洗い場では、食器や調理器具を繰り返し洗うため、水や洗剤に触れる時間が長くなりがちです。
特に、熱いお湯を使う作業や洗剤に直接触れる作業が続くと、手への負担が大きくなります。
水仕事の時間や洗剤の種類、手袋の使用状況などによって手への負担は異なるため、どのような作業で手荒れが悪化するのかを確認しましょう。
頻繁な手洗い・アルコール消毒で乾燥が進む
飲食店では、作業開始前や盛り付け前、生肉や生魚を扱った後、トイレの後など、頻繁に手を洗います。
手洗いは衛生管理上欠かせませんが、繰り返すことで皮脂が失われ、乾燥や手荒れにつながる場合があります。
また、アルコール消毒によって皮膚が乾燥したり、すでに荒れている部分に刺激を感じたりする場合もあるため、注意が必要です。
手荒れを防ぐには、熱すぎるお湯を避けたり、作業に支障のないタイミングでの保湿などが大切です。
ただし、手荒れが気になる場合でも、衛生管理上必要な手洗いは省略しないようにしましょう。
手袋の蒸れや摩擦、体質も影響する
手袋を着用していても、内部の蒸れや摩擦によって手荒れが起こる場合があります。
長時間着用すると、手袋の中に汗がたまり、蒸れた状態が続くことで皮膚に負担がかかります。
また、手袋が触れる部分に赤みやかゆみが出る場合は、素材や成分に対するアレルギーによって、かぶれ(接触皮膚炎)が起きている可能性もあるため、注意が必要です。
もともとの皮膚の状態によっても、手荒れの起こりやすさは変わります。
アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している人は、水仕事や洗剤による刺激を受けやすい傾向があります。
手荒れが続く場合は、症状が出る部位や悪化するタイミングを確認し、必要に応じて皮膚科で原因を相談しましょう。
飲食店の仕事中にできる手荒れ対策

飲食店では、手袋の使い分けや洗い方の工夫、保湿、作業分担の見直しなどが、仕事中の手への負担を減らす対策になります。
店舗の衛生管理ルールを守りながら取り組める、4つの手荒れ対策を紹介します。
手袋を作業ごとに使い分ける
手荒れを防ぐには、作業内容に適した手袋を使用しましょう。
たとえば、食器や調理器具の洗浄には耐水性や使用する洗剤への耐性がある手袋を選び、仕込みや盛り付けでは食品を扱う作業に適した使い捨て手袋を選びます。
手袋の蒸れが気になる場合は、綿のインナー手袋を使用する方法もありますが、食品を扱う作業では使用できない場合があるため、事前に責任者へ確認してください。
また、手袋の粉末が刺激になる場合は、パウダーフリーの製品を検討する方法もあります。
ただし、手袋の素材自体が刺激になっている場合は、粉末の有無だけでは改善しない可能性があります。
手袋の中が汗や水で濡れた場合は、必要に応じて交換し、清潔で乾いた状態を保つことも大切です。
洗剤の使い方や洗浄方法を見直す
業務用洗剤は、種類や濃度によって手への刺激が強くなる場合があります。
洗剤を使用する際は製品に記載された使用方法や指定の希釈倍率を守り、必要以上に濃い状態で使用しないことが重要です。
洗剤を使うと手に痛みやかゆみが出る場合は、製品名や症状が出るタイミングを確認し、店長や責任者に相談しましょう。
洗浄や消毒に必要な性能を満たす範囲で、使用する洗剤や作業方法を見直すことも対策のひとつです。
ただし、食器や調理器具の洗浄では、店舗の衛生管理手順を守り、自己判断で洗剤の使用や洗浄手順を省略しないようにしましょう。
仕事中のハンドクリームの選び方と使い方
飲食店で仕事中にハンドクリームを使用する場合は、店舗の衛生管理ルールを確認してください。
使用が認められている場合は、保湿力に加え、無香料でベタつきにくい製品など、作業に支障が出にくいものを選びましょう。
また、仕事中に塗り直しやすいよう、ポンプ式やチューブ式など、使いやすい容器を選ぶとよいです。
保湿は、休憩中など作業から離れた時間や、仕事を終えて手を洗ったあとに取り入れるのがおすすめです。
ただし、尿素入りの製品は、ひび割れやあかぎれがある部分に塗ると、刺激を感じる場合があります。
使用すると痛みが出る場合は無理に使わず、薬剤師や皮膚科医へ相談しましょう。
洗い場の作業分担や設備を見直す
水や洗剤に触れる時間を減らすには、食器洗浄機を活用したり、洗い場の作業を複数人で分担したりする方法があります。
食器洗浄機があれば、手洗いする食器の量を減らせますが、下洗いや食器の取り出しなど、水に触れる作業がなくなるわけではありません。
こうした設備の活用や作業分担の変更は自分だけでは決められないため、店長や責任者へ相談する必要があります。
相談する際は、どの作業で症状が悪化するのか、現在どのような対策を試しているのかを伝えましょう。
そのうえで、「洗い場を交代制にできませんか」や「食器洗浄機を使う作業を増やせませんか」など、希望する対応を具体的に相談してください。
症状と希望する対応を伝えることで、店舗側も作業分担や業務内容の変更を検討しやすくなります。
飲食店の仕事後・休日の手荒れケア

仕事中に十分な保湿が難しい場合は、帰宅後や就寝前など、作業から離れた時間にケアを取り入れることが大切です。
帰宅後は手を洗い、清潔なタオルなどで水分をやさしく拭き取ってから、ハンドクリームなどで保湿しましょう。
就寝前には、指先や爪の周囲など、乾燥しやすい部分にも丁寧に保湿剤を塗ります。
保湿後に綿手袋を使用する方法もありますが、蒸れやかゆみが出る場合は無理に使用しないでください。
休日は洗い物などの水仕事をできるだけ減らし、手への負担を抑えるのも効果的です。
ただし、ひび割れや炎症が強い場合や、保湿を続けても症状が改善しない場合は、皮膚科への受診を検討しましょう。
皮膚科を受診する手荒れの目安

かゆみや赤み、水ぶくれ、ジュクジュクした症状がある場合は、手湿疹などの皮膚炎が起きている可能性があります。
ひび割れや出血が続く場合、保湿を続けても改善しない場合も、早めに皮膚科を受診しましょう。
手湿疹などで炎症が起きている場合は、保湿だけでは十分に改善しないことがあり、症状に応じてステロイド外用薬などが処方されます。
また、手袋や洗剤などによるアレルギーが疑われる場合は、原因を調べるためにパッチテストをおこなうこともあります。
受診時には、使用している洗剤や手袋の種類、症状が悪化しやすい作業、これまでに試した対策などを伝えるのが重要です。
仕事中に症状が悪化する場合は、治療方法だけでなく、担当業務を続ける際の注意点も医師に確認しましょう。
飲食店は手荒れしたまま働いて大丈夫?

手荒れや傷がある状態で食品を扱う場合は、手指に付着した細菌による食品の汚染に注意が必要です。
飲食店で働く際に必要な衛生管理や、手荒れがある場合の職場への伝え方を解説します。
手荒れや傷は食中毒のリスクにもなる
手荒れや傷のある手指には、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌が付着している可能性があります。
黄色ブドウ球菌が食品中で増殖して産生する毒素は熱に強く、通常の加熱調理では十分に無毒化できないため、手指から食品へ細菌が付着しないよう注意しましょう。
ただし、手荒れがあるからといって、必ずしも仕事ができなくなるわけではありません。
手指に傷がある場合は、症状や担当業務に応じた衛生管理が必要です。
特に傷口が化膿している場合は、食品を汚染するリスクがあるため、直接食品に触れる作業を避け、責任者に報告しましょう。
参考:厚生労働省|食事にひそむキケン~おいしく安全に食べるヒント~
手荒れがある場合の絆創膏・手袋の使い方と職場への伝え方
手指に傷がある場合は、店舗の衛生管理手順に従い、必要に応じて耐水性の絆創膏で傷口を保護し、その上から使い捨て手袋を着用します。
使い捨て手袋は、汚れたり破れたりした場合などに交換し、手袋を着用する場合も必要なタイミングでの手洗いは省略しないようにしましょう。
職場へ報告する際は、傷口や出血、化膿の有無にくわえてどの作業で痛みが強くなるのか、手袋を着用して作業できる状態かを具体的に伝えるのが重要です。
症状が強く、通常の業務を続けるのが難しい場合は、食品に直接触れない作業への変更や、一時的な業務の調整について店長や責任者に相談してください。
手荒れを理由に飲食店を辞めてもよい?転職を考える目安

手荒れを理由に職場を変えることは、決して甘えではありません。
仕事を続けるか迷ったときは、手荒れの症状や職場での対策状況、日常生活への影響などの確認が大切です。
以下のいずれかに当てはまる場合は、転職を検討する目安になります。
- 皮膚科で治療を受けても、仕事中に症状が悪化する
- 店長や責任者へ相談しても、作業環境の改善や担当業務の変更が難しい
- 痛みやかゆみによって、睡眠や家事などの日常生活に支障が出ている
これらに当てはまる場合は、現在の職場で無理なく働き続けられるかを考える必要があります。
手荒れの症状や回復までの期間には個人差があるため、治療を続けながら働ける環境かどうか、医師や職場の責任者と相談しましょう。
現在の職場での対応が難しい場合は、水仕事の負担が少ない別の飲食店を検討する方法もあります。
手荒れの負担が少ない飲食店の選び方

飲食店によって、洗い物の量や使用する洗剤、手袋の支給状況、設備などは異なります。
手荒れが心配な場合は、求人票や面接で以下の5つの項目を確認しましょう。
- 食器洗浄機が設置されているか
- 作業に適した手袋が支給されるか
- 洗い場の作業を交代で担当できるか
- 1日の勤務で水仕事をどの程度担当するか
- 手荒れが悪化した場合に担当業務を変更できるか
求人票に記載されていない項目は、面接で「洗い場は交代制ですか」や「手袋は支給されますか」などと質問してみてください。
食器洗浄機があっても手洗いの作業が多い店舗もあるため、設備の有無だけでなく、実際の仕事内容を確認しましょう。
飲食店の手荒れは原因に合わせた対策と早めのケアが大切

飲食店で手荒れが起こる場合は、水や洗剤への繰り返しの接触、頻繁な手洗い、手袋の蒸れや摩擦など、どのような原因が影響しているのかを確認します。
水仕事による刺激が原因の場合は、作業に適した手袋を使用する、洗剤の使い方を見直す、仕事後に保湿するなど、手への負担を減らす対策を試しましょう。
かゆみやひび割れ、出血などの症状が続く場合は、無理をせず早めに皮膚科を受診してください。
仕事中に手荒れが悪化する場合は、店長や責任者に症状を伝え、洗い場の交代制や担当業務の変更などを相談する方法もあります。
手荒れの対策や治療を続けても改善しない場合や、日常生活に支障が出ている場合は、現在の働き方を見直すことも選択肢のひとつです。
同じ飲食業界でも、水仕事の量や設備、作業分担は店舗によって異なるため、ほかの職場の仕事内容や勤務条件を比較してみましょう。
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自分の手の状態に合った働き方を考えてみましょう。
