飲食店の求人でよく見るシフト制は、決まった曜日や時間に働く固定勤務と比べて、予定を調整しやすいイメージがあります。
一方で、休みの予定を立てにくい、収入が安定しにくい、早番と遅番が続くと生活リズムが乱れやすいなど、シフト制に負担を感じる人もいます。
同じシフト制でも、希望の出し方や勤務時間の決め方は店舗によって異なるため、応募前に実際のシフトの決まり方を確認することが大切です。
この記事では、飲食店で使われるシフトの種類、求職者側のメリット・デメリット、向いている人、求人票と面接で確認したい項目を解説します。
飲食店で採用されるシフト制の種類
シフト制は、一定期間ごとに勤務する日や時間を決める働き方です。
厚生労働省では、労働契約時に労働日や労働時間を確定せず、週や月ごとのシフトで具体的な勤務日時を決める勤務形態としています。
ただし、飲食店の求人情報で使われるシフト制が、すべてこの考え方に当てはまるわけではありません。
ここでは飲食店で使われるシフト制の種類を解説します。
休みや出勤の希望を出す自由シフト
自由シフトは、従業員が勤務できる日や時間を提出し、店が必要人数を調整して決める方法です。
学業、育児、副業などと両立しやすい一方、希望した日すべてに勤務できるわけではありません。
自由シフト制の飲食店では、最低勤務日数や繁忙日などの条件も確認が必要です。
曜日・時間を決める固定シフト
「毎週月・水・金の17時から」のように、基本となる勤務日と時間を決めます。
予定と収入を見通しやすい一方、学校行事や旅行などで一時的に予定を変更する場合は、交代や事前申請が必要になる場合があります。
決まったスケジュールで生活したい方におすすめのシフトです。
求人でシフト制と表記されることがある交代制勤務
交代制勤務は、早番・遅番など複数の勤務パターンを設け、スタッフが交代で担当する働き方です。
飲食店では、開店準備を担当する早番や、ピークタイムから閉店作業までを担当する遅番などがあり、日によって勤務時間帯が変わる場合があります。
求人情報では、このような交代制勤務もシフト制と表記されることがあります。
飲食店でシフト制が採用される理由
飲食店では、曜日や予約状況などに合わせて、必要な人数を調整する場合があります。
また、開店前の仕込み、営業中のホール・調理、閉店後の片付けなど、時間帯によって担当する業務も異なります。
必要な時間帯に合わせてスタッフを配置するため、シフト勤務を取り入れている飲食店が多いです。
働く側にとっても、学生は授業後、子育て中の人は昼間、副業者は週末など、働ける時間を選びやすくなります。
ただし、店の必要人数と個人の希望を調整する仕組みなので、好きな日に必ず働けるとは限りません。
飲食店の求職者から見たシフト制のメリット5選

シフト制は、一般的な会社員とはまた違ったメリットのある働き方です。
それぞれのメリットを紹介します。
1.生活予定に合わせて希望を出しやすい
自由シフトの職場では、学校の授業や家庭の予定、副業のスケジュールを見ながら、自分の勤務希望を伝えられます。
曜日や時間が固定された働き方だと調整が難しい予定であっても、あらかじめ勤務可能な日を申告できれば両立しやすくなるでしょう。
週によって生活リズムが変わりやすい人にとっては、決まった曜日・時間で働く固定勤務よりも、無理なく続けやすい働き方だといえます。
ただし、希望を出せば必ずその通りに勤務できるとは限らない点も覚えておきましょう。
2.平日の用事を済ませやすい
平日に休みを取れると、役所や銀行の窓口手続き、病院の通院など、平日でなければ済ませにくい用事に対応しやすくなります。
加えて、混雑する土日を避けて買い物や外出を楽しめる点も、平日休みならではのメリットです。
土日も通常営業を行っている飲食店では、シフトの組み方次第で平日に休みが入りやすいため、生活のペースを保ちたい人にとっては働きやすい環境になり得ます。
求人票だけでは分かりにくい部分なので、実際の休みの入り方を面接で確認しておくと安心です。
3.自分に合う時間帯を選べる
飲食店の勤務時間帯は、開店前の仕込みが中心の時間から、お客様の来店が集中する忙しいディナータイムまで幅広く分かれています。
自分の生活リズムや得意な業務内容に合わせて、働く時間帯をある程度選べる点も、シフト制ならではの魅力のひとつといえるでしょう。
時間帯によって求められる仕事内容やお客様の層は大きく異なるため、自分に合った働き方かどうかは、応募前にしっかり確認しておくことをおすすめします。
求人票の勤務時間欄だけでは分かりにくい部分でもあります。
4.複数の時間帯を経験できる
早番と遅番のように複数の時間帯で勤務する職場では、時間帯ごとに仕事内容やお客様の層が変わるため、それぞれの違いを実際の業務を通じて経験しながら学べます。
開店準備から営業のピーク対応、閉店後の片付けまで、幅広い業務を担当することで、店舗運営全体の流れを自然と把握しやすくなるのもメリットのひとつです。
さまざまな時間帯を経験しておくと、将来的に任される業務の幅も広がりやすく、店内でのキャリアアップや異動の際にも役立つ経験になっていくでしょう。
5.連休を調整できる職場もある
希望休や有給休暇をうまく組み合わせることで、繁忙期を避けながらまとまった連休を取得できる職場も存在します。
とはいえ、連休の取りやすさは店舗の人員状況やシフトのルールによって大きく差が出るポイントでもあり、どの店舗でも同じように休めるとは限りません。
入社してから「思ったより休みが取れない」と感じることのないよう、応募の段階で連休の実際の取得状況や、希望を出す際の具体的な申請方法まであらかじめ確認しておくと安心です。
飲食店の求職者から見たシフト制のデメリット6つ

シフト制はメリットばかりではありません。
入社してから後悔しないように、それぞれのデメリットを紹介します。
1.予定が確定するまで私生活を決めにくい
翌月のシフトが確定するタイミングが遅い職場では、友人との約束や予約が必要なイベントなど、早めに決めておきたい予定をなかなか立てにくくなってしまいます。
希望を提出する日ばかりに目が行きがちですが、実際に確認しておきたいのは、その希望がいつ確定し、いつ本人に通知されるかという点です。
応募の段階で、希望提出日と確定通知日の両方をあわせて確認しておくと、入社後の予定の立てやすさが変わってきます。
2.勤務日数によって収入が変わる
時給制で働く場合、希望していたシフトが削られてしまうと、そのまま月々の収入の減少に直結してしまう点は注意しておきたいポイントです。
反対に、欠員が出た際には急に代わりの勤務を頼まれ、想定していたよりも出勤日数や労働時間が増えてしまうケースもあります。
安定した収入をある程度見込みたい場合は、契約上、最低でも何日、あるいは何時間の勤務が保証されているのかを、面接や求人票で確認しておくことをおすすめします。
3.土日祝や繁忙期に休みにくいことがある
飲食店の多くは、土日祝日や年末年始、各種イベントの時期にお客様が増え、通常の営業日より忙しくなる傾向があります。
希望休を提出できる制度が整っていても、同じ日に休みを希望するスタッフが重なってしまった場合には、日程の調整を求められることも珍しくありません。
自分がまとまった休みを取りたいと考えている時期と、店舗の繁忙期が重なっていないかどうかを、応募前にあらかじめ確認しておきましょう。
4.早番と遅番で生活リズムが変わる
早番と遅番の勤務が交互に続くと、睡眠時間や食事のタイミングが日によって大きくずれてしまい、生活リズムを一定に保ちにくくなる場合があります。
特に遅番のあとに早番が入るような、勤務と勤務の間隔が短いシフトは、身体への負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。
連続勤務の間隔や、深夜勤務が発生する頻度、終電を逃した場合の交通手段についても、応募前にあわせて具体的に確認しておくと、入社後も安心して働き始められるでしょう。
5.急な欠勤で応援を頼まれる場合がある
一緒に働くスタッフの誰かが急に休むことになった場合、代わりに出勤できる人のもとへ連絡が入り、本来休みの日であっても急な出勤を頼まれることがあります。
特に人員にあまり余裕がない職場ほど、こうした応援要請の頻度が高くなりやすい傾向にあります。
実際に応援を依頼された際の連絡手段や、都合がつかず対応できない場合にどのように断ればよいのかを、入社前に確認しておくと、いざという時にも慌てず落ち着いて対応できるでしょう。
6.勤務するメンバーが変わる場合がある
シフトによって一緒に働くメンバーが日ごとに変わる職場では、人によって仕事の進め方や指示の出し方、声のかけ方に違いを感じ、戸惑ってしまう場面も出てくるかもしれません。
特に日替わりでさまざまなスタッフと組んで働く体制の店舗では、引き継ぎの方法や情報共有のルールが整っているかどうかが、働きやすさを大きく左右します。
誰と一緒に組んでも困らないよう、共有の仕組みがきちんと決まっているか事前に確認しておくと安心です。
シフト制に向いている人・向いていない人
シフト制に向いているのは、毎月の予定を早めに確認できる人、平日休みや時間帯の変化を活用したい人、複数のメンバーと働くことに抵抗が少ない人などです。
学業や家庭と両立したい人でも、提出期限を守り、勤務可能な範囲を明確に伝えられれば働きやすくなります。
一方、毎週同じ曜日・時間でないと体調を崩しやすい人、一定の月収を厳密に必要とする人、土日に必ず休みたい人は、勤務日や時間が変わる働き方より、曜日や時間が固定された求人が合う場合があります。
向き不向きは性格だけでなく、職場のシフトの決め方によっても変わります。
「シフト制だから無理」と決める前に、勤務時間の幅や変更頻度を確認しましょう。
シフト制の飲食店求人に応募する前に確認したい8つの項目

飲食店に応募する際は、面接などで確認しておくべき項目があります。
そのなかでも、ミスマッチになりやすい8つの項目を紹介します。
1.希望シフトの提出日
希望シフトの提出については、いつまでに、何週間分または何ヶ月分の希望を出す必要があるのかを、まず確認しておきましょう。
あわせて、提出できる希望日数に上限があるのか、勤務可能な曜日や時間帯の書き方に指定があるのかも聞いておくと安心です。
学校行事や家庭の予定などで急な変更が生じやすい人は、提出後に希望内容を修正できるのか、どのような手続きが必要なのかもあわせて確認しておくと、入社後に戸惑わずに済みます。
2.確定シフトの通知日
勤務するシフトが何日前に確定し、いつ本人へ通知されるかによって、私生活の予定をどれだけ前もって立てられるかが変わってきます。
「月末ごろ」といった曖昧な説明だけで終わらせず、具体的な通知の目安日を確認しておくことが大切です。
通知の方法がアプリなのか、紙の掲示なのか、口頭での伝達なのかもあわせて聞いておくと、入社後に予定を組む際の見通しが立てやすくなり、無用な予定重複も避けやすくなります。
3.最低・最大の勤務日数と時間
求人票にある「週2日から勤務可能」という表記が、あくまで最低勤務日数を示しているのか、実際にはそれ以上の勤務が前提とされているのかを確認しておきましょう。
正社員として働く場合は、月あたりの休日数や所定労働時間に加えて、早番・遅番などの勤務時間帯の違いによって業務内容や身体的な負担がどう変わるのかも、面接の場であわせて確認しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
4.希望休の出し方と上限
希望休を申請できる期限がいつまでか、月にどのくらいの日数まで希望を出せるのか、繁忙期にはどのような扱いになるのかを、事前に聞いておきましょう。
ここで確認しておきたいのは、希望が必ず通るかどうかではなく、複数のスタッフの希望が重なった場合にどのように調整がおこなわれているのか、その仕組みの部分です。
実際の調整方法をあらかじめ知っておくことで、入社後に感じるギャップを減らすことができます。
5.確定後の変更・交代ルール
体調不良や学校行事、家庭の事情など、やむを得ない理由でシフトの変更が必要になった場合の連絡先と、必要な手続きの流れを確認しておきましょう。
その際、代わりに勤務してくれる人を自分自身で探す必要があるのか、それとも店長や責任者が調整してくれるのかによって、負担の大きさは変わってきます。
変更時の仕組みが明確に決まっている職場ほど、急な予定変更にも落ち着いて対応しやすいといえるでしょう。
6.早番・遅番・深夜勤務の頻度
求人票に掲載されている勤務時間の一例だけを見るのではなく、実際にはどの時間帯のシフトに入りやすいのかまで具体的に確認しておくことが大切です。
遅番や深夜勤務が発生する職場の場合は、終電の時間や帰宅にかかる交通手段、そして翌日の勤務までにどの程度の間隔が空いているのかも、あわせて確認しておくと、体調を崩さず無理のない働き方を長く続けやすくなります。
7.残業・休憩の実態
シフト表に記載されている勤務時間の前後に、開店準備や閉店作業といった実質的な労働時間が発生していないかどうかを、事前に確認しておきましょう。
営業時間が長く、勤務時間も長時間になりやすい職場もあります。
その場合は、休憩時間がどのくらい確保されているのか、そしていつ休憩を取るタイミングになっているのかも確認しておくことが、日々の働きやすさや疲労のたまりにくさに直結します。
8.有給休暇と連休の申請方法
シフト制で働く場合であっても、一定の継続勤務期間や出勤率といった条件を満たしていれば、年次有給休暇が付与される仕組みになっています。
所定労働日数が少ない働き方をしている場合は、その勤務条件に応じて休暇日数が比例的に付与される場合がある点も知っておきましょう。
自分自身に付与される具体的な日数や、実際の申請方法についても、入社前にきちんと確認しておくと、いざというときに困りません。
シフト制がきついと感じたときの対処法
まずは、シフト制のどの部分に負担を感じているのか確認しましょう。生活リズム、収入、希望休、急な変更、人員不足など、原因によって対応は異なります。
最近のシフトや連絡内容を振り返り、遅番の翌日に早番が続いている、希望した勤務時間より少ないなど、気になっている状況を具体的に確認します。
そのうえで、店長や責任者に希望する働き方を相談しましょう。遅番の回数を減らしたい、勤務日数を増やしたいなど、希望とあわせて理由も伝えると話し合いを進めやすいです。
確定後のシフト変更や契約条件との違いが気になる場合は、労働条件通知書などに記載された内容と、職場のルールを確認してください。
相談しても働きにくさが改善しない場合は、固定シフトの職場や営業時間が短い店舗、シフト提出のルールが明確な職場などへ移るのもひとつの選択肢です。
求人を比較するときは、給与だけでなく、シフトの決め方や勤務時間も確認しましょう。
飲食店のシフト制は決め方や変更ルールの確認が大切
飲食店のシフト制は、店舗によって勤務日や時間の決め方、希望休の扱いなどが異なります。
応募前には、求人票や面接でシフトの決まり方や変更ルールを確認しておきましょう。
現在の職場でシフトに負担を感じている場合は、気になる点を確認して責任者へ相談してみてください。
相談しても働きにくさが改善しない場合は、固定シフトの職場やシフトのルールが明確な職場など、別の環境へ移るのもひとつの選択肢です。
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