飲食の商品開発職になるには?現場経験を活かす3つのルートと向いている人・年収を解説

飲食の商品開発職に就くために、学歴や資格を気にしていませんか。

厚生労働省の職業情報サイト「job tag」でも、食品技術者やチェーンストアの商品企画開発は、入職にあたって特に学歴や資格は必要とされていません。

採用や配属で重視される経験は企業によって異なりますが、調理や接客、原価管理などの現場経験を商品開発に活かせる場合があります。

飲食チェーンでは、店舗で経験を積んだあと、本部の商品開発への異動も選択肢のひとつです。

この記事では、商品開発の仕事内容や目指すための3つのルート、向いている人の特徴、年収、大変といわれる理由を解説します。

飲食の商品開発とはどんな仕事?

料理の開発について相談する調理スタッフ

飲食の商品開発は、新メニューや新商品を企画から商品化まで形にする仕事です。

商品企画との違いや仕事の流れ、主な就職先を解説します。

商品開発と商品企画の違い

企業によって業務範囲は異なりますが、商品企画では市場調査やトレンド分析をもとに、ターゲットやコンセプト、価格、販売方法などを検討します。

商品開発は、企画した内容をもとに食材や配合、製造方法などを決め、試作や原価調整を重ねながら商品化する仕事です。

商品企画と商品開発を別の部署や担当者が担う企業もあれば、1人が両方に関わる企業もあります。

job tagの商品企画開発では、情報収集や企画、生産計画、販売実験など幅広い業務に関わるとされています。

商品開発の仕事の流れ

商品開発の基本的な流れは、「市場・顧客ニーズのリサーチ→コンセプト決定→試作・試食→原価計算とオペレーション設計→価格決定・商品化→販促」です。

まず、市場の動向や顧客のニーズを調べ、誰に向けてどのような商品を作るのかを決めます。

コンセプトが固まったら、食材や配合、調理方法などを検討し、試作と試食を重ねます。

味や見た目だけでなく、仕込みにかかる時間や調理工程、店舗で同じ品質を再現できるかなども確認が必要です。

その後、食材の原価や店舗でのオペレーションを確認し、価格や提供方法などを調整します。

こうした検証を重ね、店舗で提供できる状態へ内容を整えたうえで商品化し、販売につなげていきます。

主な就職先は飲食チェーン本部・食品メーカー・中食ベンダー

飲食の商品開発職の主な就職先として、飲食チェーンの本部、食品メーカー、中食ベンダーの3つがあげられます。

飲食チェーンの本部では店舗で提供するメニュー、食品メーカーでは冷凍食品や調味料などの加工食品を開発します。

中食ベンダーでは、コンビニやスーパーで販売するPB商品、弁当、惣菜などの開発に携わるのが主な仕事です。

商品開発部門は企業の本部に集中していることが多く、都市部での勤務が多いとされています。

一方、個人店では専任の商品開発職を置かず、料理長や店長などがメニュー開発を担当する場合もあります。

飲食の商品開発職になるには?主な3つのルート

飲食店で働く女性スタッフ

商品開発職を目指す方法には、現在の会社で本部の商品開発職へ異動する、現場経験を活かして転職する、学校で専門知識を学んで就職するなどがあります。

適した方法は、現在の勤務先やこれまでの経験、身につけたい知識によって異なるため、主な3つのルートを紹介します。

ルート1:飲食チェーンで店長経験を積み本部へ異動する

飲食チェーンでは、店舗で店長を経験したあと、本部の商品開発職へ異動するルートがあります。

job tagの商品企画開発でも、販売や仕入れなどの業務を経験したあと、分析力や企画力などを評価されて商品企画開発へ配属されるケースが紹介されています。

本部への異動を希望する場合は、社内公募やジョブローテーションなどの制度を確認し、メニュー提案や原価管理などの経験を積みながら、上司との面談で希望を伝えておきましょう。

これから勤務先を選ぶ場合は、本部への異動制度だけでなく、店舗から商品開発職へ異動した実績があるかも確認しておくとよいです。

ルート2:調理経験を活かして商品開発職へ転職する

現在の会社に本部の商品開発職へ進む道がない場合は、調理やメニュー開発などの経験を活かして転職する方法があります。

商品開発職の求人では、調理経験やメニュー開発の経験が応募条件として設けられている場合もあります。

求められる経験は企業によって異なるため、食品メーカーや中食ベンダー、飲食チェーンなどの求人条件を確認してください。

応募書類では、売上や原価管理、メニュー開発などで担当した業務や実績を具体的に示すと、自分の経験を伝えやすくなります。

ルート3:大学・専門学校で食品の知識を学んで就職する

これから進路を選ぶ段階なら、大学や専門学校で食品に関する知識を学んでから就職する方法もあります。

進学先としては、大学の栄養学科や農学部の食品科学・発酵系学科、生物・化学系学科、製菓・調理・バイオ系の専門学校などです。

食品メーカーの商品開発など、研究や技術開発に関わる職種では、食品化学や栄養学、微生物学などの専門知識が求められる場合があります。

希望する業種や仕事内容を確認し、必要な知識を学べる学校や学科を選ぶことが大切です。

飲食の商品開発に向いている人の特徴

パンを製造するスタッフ

商品開発では、アイデアを考えるだけでなく、試作や原価調整、製造方法の確認などを繰り返します。

食への関心や数値管理を続ける力、関係者と調整する力など、商品開発に向いている人の特徴を紹介します。

食への好奇心が強くトレンドに敏感な人

商品開発では、食への関心を持ち、新しい商品や食材の情報を継続的に集めることが重要です。

話題の店舗やSNSで注目されている商品、食のトレンドなどを調べ、自社の商品に活かせるか考えられる人に向いています。

商品開発を担当する技術者には、味覚・嗅覚の鋭さや斬新な発想力が求められるとされています。

食べ歩きや料理の分析が好きで、気になった味や食材を調べる習慣があることも、商品開発に活かせる特徴のひとつです。

数字に強く地道な改善を続けられる人

数字に強く、地道な改善を続けられる人は、商品開発に向いています。

試作では、配合や加熱時間などの条件を調整し、結果を記録して比較します。

味や品質だけでなく、設定された原価や製造条件も考慮して商品化を進めるため、数値を確認しながら調整する力も必要です。

飲食店で原価計算や発注、売上分析を経験していれば、こうした業務に活かせます。

試作が想定どおりにならなかった場合も、結果を振り返り、次の試作で変更する条件を検討しながら改善を続ける姿勢が求められます。

他部署と連携して調整できる人

他部署と連携しながら調整できる人も、商品開発に向いています。

ひとつの商品を販売するまでには、営業や購買、工場、品質管理、店舗など、さまざまな部署が関わります。

原価や製造工程、品質など、それぞれの立場から異なる条件が求められるため、関係者と意見をすり合わせながら進める力が必要です。

食品技術者には、生産ラインの作業員との共同作業や技術指導に必要な指導力や説明力が求められています。

店長として従業員や他店舗と調整した経験や、顧客対応で培った説明力も、商品開発で関係者と連携する際に活かせます。

飲食の商品開発に役立つスキルと資格

飲食店で接客する男性スタッフ

商品開発に必須の資格はありませんが、担当する商品や業務によっては、調理や栄養、食品衛生などの知識が求められます。

調理師や栄養士・管理栄養士などの資格で身につけた知識も、商品の開発や品質の確認に活かせるもののひとつです。

資格だけでなく、原価計算・Excel・PowerPointを使った資料作成、食品表示やアレルゲンに関する知識も、業務を進めるうえで役立ちます。

また、食品等事業者には原則としてHACCPに沿った衛生管理が求められているため、食品衛生に関わる業務では制度の基本を理解しておくことも大切です。

飲食の商品開発の年収

調理場で確認作業をするスタッフ

厚生労働省の職業情報サイト「job tagの食品技術者」によると、加工食品の開発などを担う食品技術者の平均年収は611.9万円、平均年齢は43.9歳です。

ただし、この金額には経験を積んだ人も含まれるため、商品開発職に就いたばかりの給与水準とは分けて考える必要があります。

また、job tagの統計データは必ずしも食品技術者だけを対象とした数値ではないため、平均年収だけで実際の給与を判断することはできません。

商品開発職の給与は、企業や地域、担当する業務、これまでの調理・メニュー開発などの経験によって異なるため、転職時には個別の求人条件の確認が必要です。

求人を比較するときは、提示されている給与だけでなく、仕事内容や求められる経験、担当する業務の範囲もあわせて確認してください。

飲食の商品開発が大変といわれる理由

パソコンで仕事をする飲食店スタッフ

商品開発は、試作や調整を繰り返しながら商品化を進めるため、地道な作業や関係者との調整が必要な仕事です。

試作やコスト調整、求人の選択肢など、商品開発が大変といわれる主な理由を解説します。

試作の繰り返しとコスト調整の負担が大きい

商品開発が大変といわれる理由のひとつは、試作を繰り返しながらコストとのバランスを調整する点です。

新商品の企画だけでなく既存商品の改良も並行して進める場合があり、継続的に試作や調整をおこないます。

商品化にあたっては、営業や品質管理、製造、経営などの関係者との条件調整も必要です。

味や品質を保ちながら原価や製造工程を調整し、条件を変更した場合は再度試作や確認をおこないます。

時間をかけて検討した企画でも、コストや製造上の条件によって採用されないケースがあります。

商品開発職は求人が限られる

商品開発職は、企業によって採用人数が異なり、希望する条件に合う求人を見つけにくいことがあります。

job tagによると、令和7年度の有効求人倍率は食品技術者が0.86倍、チェーンストアの商品企画開発に関連する企画・調査事務員が0.47倍です。

いずれも1倍を下回っていますが、商品開発職だけを対象とした数値ではないため、求人状況を判断する際は参考値として確認する必要があります。

商品開発職を目指す場合は、食品メーカーや中食ベンダー、飲食チェーンなど、業種を広げて求人を探す方法もあります。

参考:job tag|食品技術者 – 職業詳細

参考:job tag|商品企画開発(チェーンストア)

現場経験を活かして飲食の商品開発職を目指そう

飲食店で食器を持つ女性スタッフ

飲食の商品開発職を目指す方法には、現在の会社で本部へ異動する、現場経験を活かして転職する、学校で専門知識を学んで就職するなどのルートがあります。

商品開発では、調理や接客の経験だけでなく、原価管理やメニュー開発、関係者との調整など、飲食店の現場で培った経験を活かせる場合があります。

一方で、試作や原価、製造条件などの調整を重ねる仕事でもあるため、仕事内容や求められる経験を確認し、自分に合う働き方かどうかも検討したいポイントです。

現在の会社で商品開発を目指す場合は、社内公募や本部への異動制度、実際の登用事例などを確認し、必要な経験を積んでいきましょう。

本部へのキャリアパスがない場合や、現在の職場で商品開発職を目指しにくい場合は、食品メーカーや中食ベンダー、飲食チェーンなどへの転職も選択肢になります。

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