飲食店で働いていて、「人間関係が最悪」や「もう二度と飲食店で働きたくない」と感じている人もいるでしょう。
店内で連携しながら働く飲食店では、忙しさや役割の違いがスタッフ同士の衝突につながりやすいのが現状です。
ただし、人間関係がつらい原因をすべて自分の性格や能力のせいにする必要はありません。
仕事に慣れる過程で生じている問題なのか、職場の教育体制や管理体制に原因があるのかによって、適切な対応は異なります。
この記事では、飲食店で人間関係の悩みが生まれやすい理由、よくあるトラブル、対処法、辞める判断の目安、次の職場を選ぶ際の確認ポイントを解説します。
飲食店の人間関係がつらくなりやすい理由
飲食店の人間関係が悪くなる理由には、個人同士の相性だけでなく、店舗の勤務環境や業務体制が影響している場合があります。
まずは人間関係を悪化させやすい原因を解説します。
少人数・限られた空間で距離を取りにくい
飲食店では、限られた人数がホールやキッチンで連携しながら営業します。
苦手な相手がいても別の部署へ離れることが難しく、勤務中は何度も声をかけ合わなければなりません。
また、小規模店では店長、先輩、教育担当者が同じ人物であることもあります。
相談したい相手がトラブルの当事者だと、悩みを店内で共有できず、孤立しやすくなります。
ピーク時は言葉が短くなり、感情がぶつかりやすい
注文が集中する時間帯は、料理の提供や会計、片付けなどを同時に進めるため、指示や声かけが短くなり、口調が強く感じるかもしれません。
一時的に口調が強くなっても、営業後に説明やフォローがあり、同じ問題を減らすための話し合いができるなら改善の余地があります。
忙しさを理由に人格を否定する言葉が繰り返される場合は、単なるピーク時の行き違いとは分けて考える必要があります。
ホール・キッチンや雇用形態によって負担や責任範囲が異なる
ホールはお客様の待ち時間やクレームを直接受け、キッチンは注文量、調理時間、品質のプレッシャーを受けます。
お互いの負担が見えないと、「ホールが無理な注文を通す」や「キッチンが遅い」と責任を押しつけ合うことがあります。
正社員、アルバイト、パート、店長候補など、雇用形態や立場の違いも行き違いの原因です。
責任範囲や評価基準が共有されていない職場では、「自分だけ仕事が多い」や「あの人だけ注意されない」などと、不公平感が生まれやすくなります。
お客様対応で感情を抑える負担もある
接客では、理不尽に感じる要求や強い口調を受けても、冷静な対応を求められる場面があります。
その場で不満や怒りを表に出せず、精神的な負担が積み重なることも少なくありません。
さらに、お客様への対応で消耗したうえに、スタッフから責められたり、責任者が助けてくれなかったりすると、負担が大きくなる原因になります。
飲食店でよくある人間関係の悩みと対処法
人間関係の悩みは、相手と合わないという一言だけで片づけられるものではありません。
ここでは、飲食店で起こりやすい人間関係の悩みを解説します。
教えてもらえないのに「使えない」と言われる
新人のうちは、店ごとのルールやメニュー、端末操作、提供順など、覚えることがたくさんあります。
十分に教えてもらえないまま失敗を責められると、質問しづらくなり、相手との関係も悪くなりがちです。
現場が忙しく、「見て覚えて」と任されるケースもあります。
「使えない」と言われたときは、「次回から同じ失敗をしないために、正しい手順を確認したいです」と伝え、その後の対応を確認しましょう。
それでも教えてもらえず、侮辱的な言葉が続く場合は、別の責任者への相談を検討してください。
人によって指示が違い、誰に従っても注意される
店長と先輩、早番と遅番で手順が違い、指示どおりに動いても別の人から注意される場合があります。
この状態を放置すると、何をしても怒られると感じてしまいます。
このような場合は、誰の指示が正しいかをその場で決めようとせず、「Aさんからはこの手順と聞きました。今後はどちらに統一すればよいですか」と確認しましょう。
店長や責任者に判断を求め、決まった手順をメモに残すと、同じ混乱を減らしやすくなります。
無視・陰口・特定の人の機嫌に左右される
挨拶や業務連絡に反応しない、失敗を必要以上に広める、特定の人だけ情報を渡さないなどの行動が続くと、相手との関わりそのものが負担になります。
業務に必要なやり取りまで滞ると、接客や調理にも集中しにくくなります。
周囲にも同じことが起きている場合は、個人間の相性だけでなく、店舗運営上の問題として責任者へ共有してください。
ホールとキッチンで責任を押しつけ合う
提供の遅れや注文ミスが起きたとき、ホールとキッチンで責任を押しつけ合うと、お互いへの不満がたまりやすくなります。
どちらが悪いかを争っても、再発防止にはつながりません。
注文の復唱、伝票や端末の確認、品切れの共有など、受け渡しのどこで情報が途切れたかを確認する必要があります。
個人で改善できる範囲を超えている場合は、ピーク後の短い振り返りを提案しましょう。
お客様から責められても店舗が守ってくれない
お客様から強く責められたときに責任者から十分なフォローが得られないと、店舗や周囲のスタッフへの不満につながることがあります。
通常の意見やクレームには誠実な対応が必要ですが、暴力、脅迫、侮辱、過度な要求などを一人で受け続ける必要はありません。
現場スタッフだけで判断せず、責任者へ引き継ぎ、記録を残します。
相談しても「接客業だから我慢して」と戻されるだけなら、店舗の安全管理や支援体制を確認する必要があります。
危険を感じる状況では、その場を離れて安全を確保し、必要に応じて警察や外部窓口へ相談してください。
飲食店の人間関係がつらいときの5つの対処法
人間関係がつらいと、「辞めるしかない」「我慢するしかない」と考えてしまうこともあります。
ここでは、飲食店の人間関係がつらいときの5つの対処法を紹介します。
1.事実と感情を分けてメモする
雰囲気が最悪、とだけ書くのではなく、日時、場所、相手の発言、自分の対応、目撃者、業務への影響を記録します。
たとえば、『8月20日19時ごろ、注文端末の操作を質問したところ、客席前で「何回言えば分かるの」と言われ、手順の説明はなかった』と具体的にメモなどに残しましょう。
記録を残しておくと、相談するときに状況を伝えやすくなります。
同じことが繰り返されているか、特定の時間帯や相手に集中しているかも確認できます。
2.忙しくない時間に具体的な確認をする
ピーク中に長い話し合いを始めると、感情的になりやすくなります。
営業前後など比較的落ち着いた時間に、「昨日の指示について、次回の手順を確認させてください」と伝え、確認したいことをひとつずつ話しましょう。
「言い方が嫌でした」だけで終わらせず、次の行動を決められる質問にすると改善につながりやすくなります。
3.まず相談先を決める
複数の人へ断片的に話すと、相談の意図が伝わらず、内容が変わって広がる場合があります。
店長、エリアマネージャー、本部の相談窓口などから、比較的中立に話を聞ける相手を一人選びましょう。
相談時は、相手への評価ではなく、起きた事実、すでに試したこと、希望する対応を伝えます。
「相手を辞めさせてほしい」ではなく、「指示系統を統一してほしい」や「同じ時間帯を一時的に外してほしい」などと具体的に依頼すると、店舗側も対応しやすくなります。
4.シフト・役割・店舗の変更を相談する
仕事内容は好きでも、特定のスタッフとの組み合わせや店舗文化が合わないことがあります。
退職だけを考える前に、勤務時間帯や教育担当、ホールとキッチンの配置を変更したり、系列店へ異動したりできないか確認しましょう。
環境を変えることで負担が軽減する場合は、飲食業界内で別の職場を探すことも選択肢です。
ただし、相談したことで嫌がらせが強まるなど安全上の不安がある場合は、無理に店内だけで解決しようとせず、外部窓口も利用しましょう。
5.仲良くなることより、安全に働ける関係を目指す
職場の全員と親しくなる必要はありません。目指すのは、挨拶が返る、必要な情報が共有される、質問できる、ミスがあっても落ち着いて対応できる関係です。
私生活の価値観が合わなくても、仕事上のルールが明確で、互いの役割を尊重できれば、必要な関係を保ちながら働けます。
好かれなければならない、と考えすぎず、業務上必要な距離を保つことも選択肢です。
飲食店の人間関係に慣れる途中か職場に問題があるかを見分ける
人間関係の悩みが、仕事に慣れるまでの一時的なものなのか、職場環境に原因があるのかによって、取るべき対応は変わります。
ここでは、それぞれを見分けるポイントを解説します。
改善の余地がある職場のサイン
改善が期待できる職場では、次はどうすればいいか具体的に伝えてもらえます。
たとえば、「遅い」と言うだけでなく、「この料理を先に運ぶ」「会計前に伝票を確認する」などです。
教え方に多少の違いがあっても、責任者に確認すれば、基本となる手順をそろえられます。
また、ピーク中に口調が強くなっても、営業後に説明やフォローがある、質問する時間を設けてもらえるなど、その後の対応があるかも確認しておきたいポイントです。
相談したあとに、少しでも対応が変わっているかを見てみましょう。
注意したい職場のサイン
次のような状態が繰り返される場合は、個人の努力だけで解決しにくい可能性があります。
- 「頭が悪い」「向いていない」など、業務ではなく人格を否定する
- 必要な手順を教えず、失敗したときだけ責める
- 人によってルールを変え、説明を求めるとさらに怒る
- 無視、仲間外れ、過度な叱責、性的な言動が続く
- 相談した内容が広まり、報復やシフト削減につながる
- 暴力、物を投げる、退路をふさぐ、脅す行為がある
- 店長や本部へ相談しても、事実確認や対応が行われない
特に、暴力や脅迫など身の危険がある場合は、改善を待つより安全を優先しましょう。
職場内に相談先がない場合、厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、いじめ・嫌がらせを含む労働問題を電話や面談で相談できます。
飲食店で辞める・転職を検討すべきタイミング
人間関係を理由に退職を考える場合は、問題の内容や繰り返しの有無、相談後に改善が見られるかを確認することが大切です。
ここでは、辞める・転職を検討するタイミングを解説します。
心身や安全への影響が出ている
出勤前に強い動悸や吐き気が続く、眠れない、食事が取れないなど、心身への影響がある場合は、我慢を続けず医療機関や公的相談窓口へ相談してください。
症状だけで状態を自己判断せず、医師や相談員など専門家の助言を受けることが大切です。
厚生労働省の「こころの耳」では、働く人の人間関係や仕事、過重労働などによる心の悩みについて、電話・SNS・メールの相談窓口を案内しています。
相談しても改善せず、同じことが続く
事実を伝え、手順の統一や配置変更を依頼しても、何も変わらない場合があります。
むしろ嫌がらせが強くなる、相談したことを責められるなどの状態なら、店内で解決できる範囲を超えている可能性があります。
本部や上位責任者がいる会社なら相談先を変えましょう。
それでも対応がなく、安心して働けない状態が続くなら、転職活動を始めるのもひとつの選択肢です。
飲食の仕事自体は好きなのに、その店だけがつらい
ひとつの職場が合わなかったからといって、飲食業界全体が自分に向いていないとは限りません。
個人店と大手チェーン、少人数店と大型店、ホールとキッチンなどでは、教育体制や人との距離感が異なる場合があります。
料理や接客が好きで、仕事内容にはやりがいを感じているなら、業態、店舗規模、役割を変える方法もあります。
退職前に確認しておきたいこと
退職を決めたら、雇用契約書や就業規則で手続きと連絡先を確認し、可能な範囲で引き継ぎをします。
ただし、暴力や深刻なハラスメントなど危険がある場合、通常どおり出勤することを優先する必要はありません。
安全を確保したうえで、会社や公的窓口へ相談してください。
関連記事:飲食を辞めたいと感じたら?よくある理由と後悔しない判断基準、円満に辞める方法を解説
次の飲食店で人間関係を判断するポイント
次の職場を選ぶときは、人間関係だけでなく、教育方法や指示の出し方、責任者の対応なども確認しておくことが大切です。
ここでは、入社前に確認したいポイントを解説します。
求人情報で教育と人員体制を確認する
「アットホームな職場」という言葉だけでは、実際の職場の雰囲気や働き方は分かりません。
研修期間、教育担当、独り立ちの目安、ピーク時の人数、社員とアルバイトの構成、異動や相談窓口の有無を確認します。
仕事内容が具体的に書かれている求人は、入社後の役割を想像しやすいです。
一方、担当範囲が広いのに教育の説明がない場合は、面接で質問しましょう。
面接では職場の対応について具体的に質問する
「人間関係は良いですか」と聞くだけでは、実際の状況にかかわらず、「良いです」と答えられる可能性があります。
次のように、実際の職場での対応について聞いてみましょう。
- 新人は誰が、どの順番で仕事を教えますか
- 人によって指示が違った場合、誰に確認しますか
- ピーク後の振り返りやミーティングはありますか
- スタッフ間のトラブルが起きたとき、誰が対応しますか
- 希望すれば、職種や店舗の変更を相談できますか
回答の内容だけでなく、質問に対して具体的に説明してくれるかどうかも確認しましょう。
店舗見学でスタッフへの接し方を見る
可能なら、応募前後に店舗を利用したり、見学を依頼したりしましょう。
忙しさよりも、ミスが起きたときの反応に注目してください。
責任者が客席の前でスタッフを怒鳴る、挨拶を返さない、質問を遮るなどの様子がある場合は慎重に判断します。
一方、短いやり取りでも必要な確認ができている、困っている人をほかのスタッフがサポートしている、責任者が状況を把握している職場は、スタッフ同士で協力しながら働けている可能性があります。
「仲の良さ」よりルールの明確さを見る
スタッフ同士が休日も遊ぶ職場が、自分にとって働きやすいとは限りません。
確認したいのは、必要な情報が共有されていること、評価や注意の基準が一貫していること、相談した人が不利益を受けないことです。
仲良しに見えるかではなく、安全に仕事を続けられる仕組みがあるかを見てください。
関連記事:飲食業界にホワイト企業はある?特徴・見分け方と転職で失敗しない選び方を紹介
飲食店の人間関係に関するよくある質問
ここでは、飲食店の人間関係について、よくある疑問を解説します。
飲食店は変な人が多い業界ですか?
飲食業界だけに特定の性格の人が多いとは限りません。
年齢や雇用形態、経験、役割が異なる人が一緒に働くため、考え方や仕事の進め方に違いが出ることもあります。
人それぞれの性格だけでなく、教育体制や役割分担、相談しやすい環境が整っているかも確認しましょう。
「使えない」と言われたら辞めるべきですか?
一度言われただけで、すぐに退職を決める必要はありません。
何が不足しているのか、次はどうすればよいのかを具体的に聞き、教える意思があるか確認します。
説明を求めても人格否定や侮辱が続く場合は、記録を残して別の責任者へ相談し、改善しなければ転職も検討してください。
人間関係を理由に辞めるのは甘えですか?
安心して働けるかは、仕事を続けるうえで大切な条件です。
人間関係を理由に環境を変えること自体は甘えではありません。
ただし、続けるか辞めるかは、問題の深刻さや起こる頻度、相談後の変化、心身への影響などを踏まえて考えることが大切です。
どのくらい我慢してから判断すべきですか?
一律に何週間、何ヵ月とは決められません。
新人として覚える負担と、人格否定や安全上の問題は同じではないからです。
危険な行為があれば期間を置かず安全を優先します。
業務上の行き違いなら、具体的な相談をおこない、その後に変化があるかを確認しましょう。
店長がトラブルの相手の場合はどうすればよいですか?
エリアマネージャー、本部、人事、社内相談窓口など、店長以外の連絡先を確認します。
社内に相談先がない、または相談による不利益が心配な場合は、総合労働相談コーナーなどの外部窓口を利用できます。
相談時に説明できるよう、日時、発言、業務への影響を記録しておきましょう。
飲食店の人間関係がつらいときは自分と職場を切り分けて考えよう
飲食店の人間関係がつらいときは、原因を自分だけに求めず、職場の教育体制や指示系統、周囲の対応なども含めて状況を判断することが大切です。
業務上の行き違いであれば、手順や役割を確認し、必要に応じて責任者へ相談しましょう。
人格否定や無視、暴力などが続く場合は、無理に我慢せず、安全を優先して外部の相談窓口や転職も検討してください。
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