「飲食店のバイトを始めたものの、初日以降ほとんど仕事を教えてもらえない」
「分からないことを聞くと不機嫌な顔をされ、教わっていないことで怒られる」
このような状況が続くと、これが普通なのか、自分に原因があるのかと不安になるかもしれません。
仕事を教えてもらえない原因には、職場の忙しさや教育体制など、店舗側の事情が影響している場合もあります。
とくに、教わっていないのに怒られる場面は、あなたの覚えが悪いから起きるとは限りません。
教える仕組みがないまま新人を現場に立たせている店では、同じことが誰にでも起こります。
だからこそ、まず原因を知り、自分でできる手を打つことが大切です。
この記事では、飲食店で仕事を教えてもらえない主な原因や対処法、辞めるか迷ったときに確認したいポイントを解説します。
飲食店で仕事を教えてもらえない3つの理由

飲食店では、忙しい時間帯や教育体制の影響で、新人への指導まで手が回らない場合があります。
仕事を教えてもらえない主な3つの理由を紹介します。
人手不足や忙しさで教える時間を取りにくい
ランチやディナーのピークタイムは、先輩や店長も接客や調理に追われ、新人への指導が後回しになる場合があります。
スタッフが少ない時間帯や、教育担当者が通常業務と指導を兼任している店舗では、十分な指導時間を確保しにくいです。
たとえば、ランチの片付けが終わった直後に「次は仕込みを手伝って」と言われても、新人は何から手をつければよいのか分かりません。
先輩にとっては当たり前の流れでも、教わっていなければ手が止まってしまいます。
忙しい時間帯には簡単な説明しかなく、落ち着いた時間帯には詳しく教えてもらえる場合は、店舗の状況が影響している可能性があります。
仕事を教えてもらえないと感じたときは、時間帯によって指導や質問への対応が変わるか確認してみてください。
教育担当者や指導方法が決まっていない
マニュアルやチェックシートがなく、誰が何を教えるかも決まっていない店舗では、指導内容にばらつきが出やすいです。
教育担当者が決まっていないと、先輩によって説明が異なったり、教わる内容が日によって変わったりする場合があります。
ある日は「この皿は先に水で流してから」と教わったのに、別の日の先輩には「そのまま洗剤でいい」と言われる。こんな場面が重なると、どちらが正しいのか分からず、動くのが怖くなってしまいます。
そのため、新人側は何をどこまで覚えればよいのか分からず、必要な説明を受けないまま仕事を任されることもあります。
誰に確認すればよいか分からない場合は、店長や責任者に質問する相手を確認しておきましょう。
自分から聞かないと教えてもらえない
店舗によっては、「分からないことは自分から聞いて」と言われ、自分から質問しないと詳しく教えてもらえない場合があります。
しかし、仕事を始めたばかりでは、分からないことが分からず、何を質問すればよいか迷います。
また、「ちゃんとやって」や「見れば分かる」などの曖昧な指示だけでは、具体的な手順や判断基準が十分に伝わりません。
教える側は質問されたら答えるつもりでも、新人側は仕事を教えてもらえていないと感じることがあります。
このすれ違いが続くと、新人は聞くのが怖くなり、教える側は「聞かれないから大丈夫だろう」と思いこみます。お互いに悪気がないまま、溝だけが深くなっていくのです。
ここで気になるのは、自分の店が「教える余裕がない店」なのか、「教える気がない店」なのかという点でしょう。見分けるヒントは2つあります。
1つ目は、ほかの新人やスタッフへの接し方です。全員が同じように放っておかれているなら、店の仕組みに原因がある可能性が高いです。自分だけが無視されている場合は、別の問題を疑う必要があります。
2つ目は、落ち着いた時間帯の反応です。ランチとディナーの合間に質問したとき、丁寧に答えてもらえるなら、教える気はあるものの余裕がないだけかもしれません。
仕事を教えてもらえないときに新人バイトができる4つの対処法

仕事を教えてもらえないときは、質問の仕方やメモの残し方を工夫するのもひとつの方法です。
新人バイトが仕事を教わるためにできる4つの対処法を紹介します。
分からないことは具体的にまとめて質問する
「何をすればいいですか」ではなく、「レジ締めのあとは何をすればいいですか」のように具体的に聞くと、相手も答えやすくなります。
質問が複数ある場合はメモしておき、ピークを避けた比較的落ち着いた時間帯にまとめて確認すると、やり取りしやすいです。
たとえば、「置き場所」「洗い方」「閉店作業の順番」の3つをメモに書いておき、「3点だけ確認させてください」と声をかければ、相手も心づもりができます。
また、「○○だと思うのですが合っていますか」のように自分の理解を伝えると、どこまで分かっているかを相手にも共有できます。
ただし、その場で判断が必要なことは後回しにせず、すぐに確認してください。
質問する相手を確認しておく
誰に質問すればよいか分からない場合は、店長や責任者に「分からないときは誰に聞けばよいですか」と尋ねておきましょう。
教育担当者やシフトが重なりやすい先輩など、質問する相手が分かっていれば、困ったときに誰へ聞けばよいのか迷わずに済みます。
先輩によって説明や指示が異なる場合も、自分で判断せず、決められた相手にどちらの方法に従えばよいか確認してください。
「先輩によって洗い方が違うのですが、どちらでやればいいですか」と、事実だけを伝えて聞けば、相手を責めずに済みます。決まった相手に確認する形にしておくと、あとで「誰に言われたの」と揉めることも減ります。
教わったことはメモして、自分用マニュアルを作る
教えてもらう機会が少ないときは、店舗のルールに従って、作業の手順やメニュー、物の置き場所などをメモしておくと、あとから確認しやすくなります。
分からない部分には印をつけておき、時間があるときにまとめて質問しましょう。
たとえば、手のひらサイズのメモ帳に「ホール」「キッチン」「閉店作業」と見出しを作っておけば、あとで探しやすくなります。覚えたことが目に見えて増えていくので、自信にもつながります。
盛り付けや備品の位置を写真で残したい場合は、撮影してもよいか事前に店長や責任者へ確認してください。
教わった内容を少しずつ書き足していけば、自分が仕事をするときに見返せるマニュアルとして活用できます。
教わっていない仕事を任されたら先に伝える
人手不足や忙しさで指導が追いつかず、必要な手順を教わらないまま新しい仕事を1人で任される場合があります。
まだ教わっていない業務を任されたときは、自己判断で進めず、そのことを責任者へ早めに伝えてください。
たとえば「まだレジ締めは教わっていないので、先に手順を教えていただけますか」と伝えれば、責任者はすぐに状況をつかめます。黙って自己流で進めて失敗すると、新人の責任にされてしまうおそれもあります。
教わっていない内容を伝えておけば、責任者もどこまで説明が必要なのか把握できます。
その場ですぐに教えてもらえない場合は、いつ教えてもらえるのか、誰に聞けばよいのかも確認しておきましょう。
仕事を教えてもらえないのはパワハラ?辞めるか迷ったときに確認したいことと相談先

仕事を教えてもらえないだけで、必ずしもパワハラに当たるとは限りません。
一方で、自分だけ無視される、仕事から外されるなどの対応が続く場合は、パワハラに当たる可能性もあります。
パワハラの定義や、辞めるか迷ったときに確認したい職場の状況、相談先を解説します。
無視されるのはパワハラ?厚生労働省の定義を確認
厚生労働省では、職場のパワーハラスメントを、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものと定めており、この3つの要素をすべて満たすものがパワハラの対象です。
アルバイトなどの非正規雇用労働者も含まれます。
パワハラの典型例のひとつである「人間関係からの切り離し」には、隔離や仲間外し、無視などがあげられています。
一方で、仕事を十分に教えてもらえないという状況だけで、パワハラに当たるとは判断できません。
自分だけ無視される、意図的に仕事を与えられないなどの対応が続いている場合は、具体的な状況を記録したうえで相談先を利用することも検討しましょう。
辞めることも検討したほうがよい職場の特徴と相談先
以下のような状況が続き、店長や本部へ相談しても改善されない場合は、退職も選択肢のひとつです。
- 質問すると怒鳴られる
- 先輩によって指示が異なり、どの方法に従えばよいか分からない
- 教わっていないことや店舗側の教育不足を新人だけの責任にされる
パワハラを含む職場のトラブルは、都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置されている「総合労働相談コーナー」で無料で相談できます。
相談する際は、日時や場所、言われた内容、その場にいた人などを記録しておくと、状況を説明しやすいです。
記録は短くて構いません。たとえば「10月5日、閉店後、店長から『何で聞かないの』と言われた。Aさんも近くにいた」のように、スマートフォンのメモに残しておけば十分です。記録があれば、相談の場でも状況を正確に伝えられます。
店長に相談しても変わらないときは、本部や運営会社の窓口に伝える方法もあります。それでも状況が変わらなければ、無理に耐え続けず、次の職場を探すのも自分を守る選択のひとつです。
次の職場で教育体制を見極めるための質問
辞めると決めたなら、同じことを繰り返さないために、次の職場では教育体制を先に確認しておきましょう。面接や見学のときに聞いておけば、入ってからのギャップを減らせます。
聞いてみたいのは、「入社後の研修はありますか」「マニュアルやチェックシートはありますか」「最初は誰が教えてくれますか」の3つです。具体的に答えてくれる店は、新人を育てる意識がある可能性が高いでしょう。反対に、「見て覚えてもらう感じ」「忙しいから何とかなる」といった答えなら、慎重に考えたほうがよさそうです。
求人票でも、「研修制度あり」「未経験歓迎」「教育担当あり」といった記載があるかを見ておくと、比べやすくなります。
面接のときに、スタッフ同士の声のかけ合いを見ておくのも有効です。お互いに声をかけ合っている店なら、新人にも声をかけてもらえる期待が持てます。
仕事を教えてもらえないときは原因と職場の状況を確認しよう

飲食店で仕事を教えてもらえないときは、人手不足や忙しさ、教育担当者が決まっていないなど、店舗側の事情が影響している場合があります。
まずは、分からないことを具体的に質問する、教わった内容をメモする、質問する相手を確認するなど、自分でできる対処から試してみてください。
教わっていない仕事を任された場合は、自己判断で進めず、まだ教わっていないことを責任者へ早めに伝えましょう。
店長や責任者へ相談しても状況が変わらない場合や、怒鳴られる、無視されるなどの対応が続く場合は、退職を検討したり、総合労働相談コーナーへ相談したりする方法もあります。
教えてもらえないことは、あなたの価値を決めるものではありません。大切なのは、原因を見きわめ、自分を守りながら次の一歩を選ぶことです。
迷ったときは、紙に「いまの職場で変えられること」と「変えられないこと」を書き出してみてください。進むべき道が、少し見えやすくなります。
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